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2009年11月

2009年11月30日 (月)

笙にいそしむ89才

ラジオ関西 報道制作部  国広 正夫

私自身長い間生きてきて「笙」なる楽器を目の当たりにするのも、目の前で演奏を聴くのも初めてのことで、日本人としてある種の期待を込めての取材となりました。

しかも登場する浅田さんは、定年後「笙」づくりと演奏を一から始めた訳で興味は尽きませんでした。

89才の浅田さんのことを、腰はやや曲がり、摺り足の男性だろうと勝手にイメージしていましたが、お会いした瞬間「30才は若い!」と思いました。

「笙」を奏でるには、絶えず背筋を伸ばした上、かなりの肺活量を必要とするからでしょう。そして目を閉じて演奏に聴き入っていた私は、浅田さんの言う「笙の持つ、不協和音の心地よさ」を静かに感じました。

2009年11月23日 (月)

越後上布~繊細な手作業に思いをこめて

新潟放送 報道制作局情報センター ラジオ制作担当 熊谷 春香

実は隠れた織物の名産地の新潟県。
今回は昔ながらの手作りの製法が評価されて今年9月にユネスコの無形文化遺産に登録された「越後上布(えちごじょうふ)」を支える女性たちを紹介しました。

一人は、いまや親子の織り子さん(機を織る人)がほとんどいない中、母親と一緒に機を織る高波さん。
そしてもう一人は、岡山県出身で沖縄の芸術大学で機織りを学んだ後、新潟に移り住んだ北村さん。

越後上布の里、南魚沼市塩沢地区に「機織りがしたい」という一心でやってきた北村さんは、機織の仕事とアルバイトを両立させてがんばっています。

安く大量生産できる布が当たり前の今、丁寧に丁寧に作られる越後上布を支える女性たちに密着しました。

2009年11月16日 (月)

琉球くがにぜーく(金細工)最後の職人

琉球放送 アナウンス室  狩俣 倫太郎

数百年前から響き続ける金細工職人の金槌の音が聞けなくなるかも知れない。

保護を受けることが出来ず、消えかけている音がある事を知って欲しい。

2009年11月 9日 (月)

名前のないワイン

山梨放送 ラジオセンター 制作部 依田 司

「勝沼や馬子も葡萄を喰いながら」  
芭蕉は秋の甲州・勝沼をこう詠みました。

甲府盆地の東部に位置する甲州市勝沼町は、日本一のブドウ産地、そして日本一のワイン産地。勝沼には大小30社以上ものワイナリーが軒を連ねます。

「菱山中央醸造」は家族で営まれる小さなワイナリー。
この地域では、古くからぶどうの栽培農家が集まって組合を作り、共同で自家消費用ワイン(晩酌用ワイン)の醸造をしていました。「菱山中央醸造」はそんな組合ワイナリーの形態を今に残す、数少ないワイナリーの一つです。

自家消費用なので、ラベルも銘柄もありません。
ほとんど流通もしていません。

農家がブドウを持ち寄りって、博物館にあるような昔ながらのプレス機を使い、みんなでブドウを搾ります。
「おいしいワインを飲みたい」「おいしいワインになれ…」と思いは同じです。

甲州・勝沼の昔と変わらぬ「秋の香り」を感じていただけたら幸いです。


(実は、某日本一有名なソムリエの方も注目しているワインなんです。本当においしいですよ!)

2009年11月 2日 (月)

ふるさとの心・くるま市

IBC岩手放送 ラジオセンター 高橋 典子

岩手県の県北沿岸に位置する久慈市。市街地から離れたひっそりした山の中にある山根地区の端神郷(はしかみごう)は、月に一度、第一日曜日だけ、小さな広場で市を開きます。

シンボルとなっている水車にちなみ「くるま市」と名付けられたこの市には、毎回1000人程の人が訪れます。
この山奥にある素朴な市になぜ多くの人がやってくるのか、その魅力をリポートしました。

同じ岩手に住んでいても、聞いたことのない食べ物もあり(とても素朴な味でした)、地域によって文化の違いが大きいことを改めて知らされると共に、とてもなつかしい温かい気持ちで取材できました。

取材の時は岩手のお客さんだけでしたが、北海道から関東まで遠くからやって来るお客さんも多いとのことです。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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