笙にいそしむ89才
ラジオ関西 報道制作部 国広 正夫
私自身長い間生きてきて「笙」なる楽器を目の当たりにするのも、目の前で演奏を聴くのも初めてのことで、日本人としてある種の期待を込めての取材となりました。
しかも登場する浅田さんは、定年後「笙」づくりと演奏を一から始めた訳で興味は尽きませんでした。
89才の浅田さんのことを、腰はやや曲がり、摺り足の男性だろうと勝手にイメージしていましたが、お会いした瞬間「30才は若い!」と思いました。
「笙」を奏でるには、絶えず背筋を伸ばした上、かなりの肺活量を必要とするからでしょう。そして目を閉じて演奏に聴き入っていた私は、浅田さんの言う「笙の持つ、不協和音の心地よさ」を静かに感じました。