« 2024年4月 | メイン

2024年5月

2024年5月15日 (水)

伝統と格式に新風を 四国霊場の若き住職

2024年5月20日~5月26日
四国放送 ラジオ編成制作部 前川貴宏

【番組概要】
徳島市の四国八十八か所霊場13番札所で住職を務める大栗弘昴さん(26歳)。9歳の時に当時住職だった父の弘榮さんを病気で亡くし、韓国出身の母が寺を守るとともに自身はアメリカに留学。大学卒業後に日本に戻って四国霊場最年少の住職となった。得意の語学力を生かして増加する外国人参拝客を迎えたり、趣味の筋力トレーニングが高じて寺に開設したジムで檀家に筋トレ指導するなど異色の取り組みでも注目されている。

【制作意図】
憧れの存在だった父を早くに亡くし、「自分が成人になるまで寺を守ってほしい」と母に頼んだ少年。当時はどんな思いだったのか。また20代の若さで実際に住職となり、伝統と格式のある寺を背負う立場でこれからどんな取り組みしようとしているのか、そのビジョンを取材した。

【制作後記】
韓国伝統舞踊継承者の昴先さんが大日寺に嫁いだ時から取材させていただいた縁があり、その息子である弘昴さんが住職になったのはとても感慨深い。広い視野を身に着けるためわずか9歳でアメリカ留学を決意し、国際感覚と異文化への理解力を身に着けて帰国した若き住職。多様性の時代に遍路文化の未来を担う存在として彼の今後に注目したい。


2024年5月10日 (金)

湯けむり せんぺい物語

2024年5月13日~5月19日
長崎放送 報道メディア局 報道制作部 戸島夢子

【番組概要】
長崎県雲仙市。海に囲まれた半島の中心にあり、雲仙普賢岳がそびえる自然豊かな場所です。そして、温泉地として国内外から多くの旅行客が訪れます。硫黄の匂いが立ち込め、約30の地獄から噴煙が絶えず吹き上がる雲仙地獄は、キリシタン殉教の舞台となったことで有名です。そんな湯けむり漂う、雲仙地獄を抜けると、温泉街が見えてきます。今回の舞台はここ、温泉街にあるお土産屋さん「遠江屋本舗」です。明治時代に、木賃宿として創業し、昭和20年代に土産屋に姿を変えましたが、もてなしの心は変わらず雲仙を訪れた人々を迎えてきました。130年以上の歴史を持つ「湯せんぺい」を、今もなお、唯一の純一枚手焼きで作り続け、伝統の技を守るだけではなく、温泉街の風景をも守り、後世に伝えたいという、5代目隆太さんの湯せんぺいにかける思いをお送りします。

【制作意図】
雲仙と言えば、硫黄の香り、雲仙地獄、湯せんぺいと言ってもいいほど長崎県民にはとてもなじみの深いお菓子「湯せんぺい」。私も、子供の頃から家族旅行で訪れるたびに味わいました。食べると懐かしく優しい気持ちになれる「湯せんぺい」。この素朴で、どこか懐かしく感じる、優しい味の「湯せんぺい」の魅力。そして、雲仙の風景と共に、昔ながらの一枚一枚手焼きの製法を守り続ける職人の思いを伝えたいと制作しました。

【制作後記】
店舗の一角に作業場を構え、来る人が湯せんぺいを焼く姿を見ることが出来るのは、雲仙温泉街で唯一、遠江屋だけです。取材時に、隆太さんの”湯せんぺい”を焼く姿を熱心に見つめるお子さんや、
観光ついでにと寄られ「こんなにおいしいと思わなかった!」と、追加で注文される方など、沢山の方の旅の思い出に立ち会えた気がしてとても嬉しかったです。そして、並々ならぬ、5代目隆太さんの雲仙に対する思い、湯せんぺいに対する愛に心を打たれました。温泉街の風景と共に、”湯せんぺい”の味、手焼きの風景がこれからも、
残っていくことを願っています。

アニマル園長選挙開票特番

2024年5月6日~5月12日
KBS京都 ラジオ局編成制作部 西村佳恵

【番組概要】
京都市左京区にある京都市動物園は、1903年に全国で2番目に開園し、昨年度120周年を迎えた歴史ある動物園です。京都市動物園では2016年から、1年間の動物園の顔を“その年の干支にちなんだ動物”から投票で決める「アニマル園長選挙」を行っています。9代目は令和6年の「辰」にちなみ、龍のモチーフとなったワニなど爬虫類や、龍と同じく足に鱗を持つ鳥類より、計6個体が出馬し、約一か月間投票が行われました。番組では、3月24日に行われた結果発表の模様を中心に、選挙に関わる人々の声を選挙特番風にお届けします。
(なお、取材当時に園長だった坂本さんは2024年3月末で退任されたため、番組内では「元園長」の肩書きで紹介しています)

【制作意図】
動物の人気投票は他の動物園でも行っているかと思いますが、選挙さながらの形式で投票を行っているのは全国の動物園でも珍しいそうです。キャッチコピーと写真入りのポスターが作られたり、実際の選挙で使用される投票箱を使ったりと、動物園の職員も“本格的に”選挙に取り組んでいました。
また、今年のアニマル園長選挙が始まる少し前には、4年ぶりに京都市長選が行われ、16年ぶりに新市長が誕生しました。ちょうど市内は選挙ムードと新たなリーダーへの期待が高まっていた時期でもあり、“本格的な”アニマル園長選挙開票特番を作ろうと思いました。

【制作後記】
今年の干支にちなんだ出馬動物が、ワニやカメ、ヤモリなど「爬虫類」中心だったこともあり、鳴き声がなかったり、名前だけではビジュアルがイメージしにくい動物もいたので、飼育員さんにアピールポイントを話して頂いたりして補いました。
取材をしていると、小さな子供たちが投票している姿が多く見られて、このマニアックな動物たちを実際に自分の目で見て、自分の意志で気に入った動物の投票箱に入れるという行動は、実際の選挙の投票にも繋がるなと妙に感心してしまいました。
動物園の職員が選挙で盛り上がっている中、当の動物たちは何も分からないまま呑気に餌を食べていたのが面白かったです。


半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

ブログ powered by TypePad