2022年8月30日 (火)

勇壮!けんか七夕~わが町の祭、再び~

2022年8月29日~2022年9月4日放送 
IBC岩手放送 メディア編成局ラジオ放送部 高橋典子

【番組概要】
岩手県沿岸南部の町、陸前高田市気仙町。ここでは毎年8月7日に、900年の伝統を受け継ぐ「けんか七夕」が行われてきました。丸太を取り付け七夕飾りをつけた山車をお互いにぶつけ合うという、沿岸ならではの荒々しくも勇壮な祭りです。11年前の東日本大震災で大きな被害を受けた後も、ボランティアの力を借りるなどして祭りを続けてきましたが、新型コロナの影響で2年中止となりました。しかし今年は3年ぶりに開催できることになり、しかもやっと地元の住民だけで行う祭りが復活しました。

【制作意図】
岩手県沿岸部の街は東日本大震災で大きな被害を受け、長い時間をかけて復興に取り組んできました。ようやくインフラも整い始め、散り散りになっていた住民も少しずつ戻り始めた頃、新型コロナウィルスが流行し、陸前高田市気仙町では心の支えともなっていた祭「けんか七夕」を中止せざるを得ない状況となってしまいました。しかし今年は3年ぶりに開催できることになり、住民あげて祭りを成功させようと懸命になっていました。番組では人々の祭り対する思いと共に、900年の伝統を持つ勇壮な「けんか七夕」を紹介したいと思いました。

【制作後記】
地域に受け継がれてきた伝統ある祭りも、最近は後継者不足で継承が危ぶまれている所が多くあります。そんな中、気仙町の「けんか七夕」を取材してみると、若い人たちがたくさん参加していました。「子どもの頃から見ていた祭りは自分たちが受け継いでいく!」という心意気です。「「なぜだろう?」と疑問に思いましたが、ここでは東日本大震災の大きな被害、新型コロナウィルスの流行と、様々な苦難を目の当たりにしたからこそ、そこに強い郷土愛が芽生えたのかもしれない、と思いました。先輩たちの厳しい指導、それに素直に従い志を持つ若者たちを、とても心強く感じました。

故郷の心を奏でる~立山杉で作ったSDGSな胡弓~

2022年8月22日~2022年8月28日放送 
信越放送 コンテンツ局 佐伯和歌子

【番組概要】
富山県富山市南西部の山あいの町、八尾。毎年9月1日から3日まで開催される「おわら風の盆」は、300年を超える歴史ある民謡行事です。昔の面影を残す町並みに、数千個のぼんぼりが灯る幻想的な風景の中、編み笠を被った男女が「越中八尾おわら節」の唄に合わせて静かに優美に踊ります。この唄の旋律に寄り添い、ひときわ哀調に満ちた音色なのが和楽器「胡弓」です。胡弓は日本唯一の擦弦楽器。三味線を小さくした楽器に、馬のしっぽにテンションをかけたものを擦り付けて音を出します。今から2年前、富山市岩瀬にある和楽器専門店「しゃみせん 楽家」の社長、濱谷拓也さんは新しい胡弓作りに挑戦します。森林や動物保護に貢献するSDGSな胡弓「森の胡弓」です。「日本の音を、日本の木で奏でたい」そんな思いから新しい胡弓の開発がスタート。材料として選んだのは、おわらの故郷である八尾にも多く自生している「立山杉」。通常は動物の皮を張る共鳴部も杉を使っています。立山杉で作った新しい胡弓「森の胡弓」で奏でる「越中八尾おわら節」の演奏をお送りします。 

【制作意図】
今や「おわら」の代表的な存在として取り上げられることの多い「胡弓」。胡弓は、日本唯一の擦弦楽器として江戸時代初期に普及したといわれていますが、三味線のように間を重んじる日本人には、弦で擦る連続音が馴染めず尺八にその役割をゆずり、今では胡弓の演奏を聴く機会も少なくなりました。富山市岩瀬にある和楽器専門店「しゃみせん 楽家」では、胡弓の魅力を全国に発信するため、オリジナル教本や譜本、胡弓教室など様々な取り組みを行っています。そんな中で生まれた新しい胡弓「森の胡弓」は、杉を使う事でコストを下げ、誰でも気軽に胡弓に触れることが出来、さらに森林保護、動物保護にもつながるSDGSな楽器となりました。伝統的な胡弓と新しい胡弓、それぞれの魅力を伝えつつ、まずは一人でも多くの方に哀調に満ちた美しい胡弓の音色に触れてほしい、そんな思いで制作しました。

【制作後記】
取材時に生まれて初めて胡弓を触り、そして音の出し方を教えて頂きました。音を出すには力を入れない方がいい事、3本ある弦のうち1本しかほとんど使わない事を知りました。そして何度か練習するだけでとってもいい音が鳴るのです!力の抜き方がヨガにも似ているのうな気がして(と、言ってもヨガに詳しいわけではありませんが)、とてもリラックスして弾く事が出来ました。胡弓は、いい音が手軽に出せてとても気持ちの良い楽器でした。今後、「森の胡弓」がどんな風に進化していくのか、どんな風に地域になじみ、演奏され、新しいコラボレーションが生まれるのか引き続き取材していきたいと思います。

歩ける喜びを届けたい!整形靴職人

2022年8月15日~2022年8月21日放送 
琉球放送 編成制作部 上原圭太

【番組概要】
整形靴という言葉を知っていますか?足が変形していて、市販の靴が履けない方向けに作るオーダーメイドの靴の事です。ここ沖縄県那覇市松尾にある靴店「大田製靴店」では、その「整形靴」を作る職人がいます。整形靴への思い、そして作業場での音をお届けします。


【制作意図】
「整形靴」という言葉は、私自身知りませんでしたが知人に紹介されたのが知るきっかけでした。
足が変形していて、市販の靴を履くことが困難な方が必要な整形靴。どうやって作っているんだろう?普通の靴とは形が違うのか?整形靴を作る職人の思いなどを知りたくなり、今回取材しようと思いました。

【制作後記】
足のトラブルが一人一人症状が違う事から、整形靴を作るには「足の型取り」から必要だというのが印象的でした。オーダーメイドの靴というのは、どうしてもシックなイメージになってしまいます。
事実、整形靴を作っても「デザインが嫌」という理由で履かなくなる方も多いようです。大田製靴店では、ユーザーに長く履いてもらう為にスニーカーのような形や、カラフルな色を使用してオシャレも楽しめるよう工夫しています。大人用は仕事でも使えるものから普段使いまで様々なデザインがありました。子供用には「トイトイトイ」という自社ブランドのタグも付けて、とてもカッコイイ見た目でした。また、番組の冒頭で「ガチャンガチャン」となっていたミシンは、なんと約100年前に生産されたミシンで、部品を交換しながら大切に使っています。



ビートを刻む風呂桶

2022年8月8日~2022年8月14日放送 
東海ラジオ放送 制作局 報道・スポーツ制作部 柴田 健

【番組概要】
岐阜県中津川市付知町にある早川木材株式会社は、建築用木材の加工、檜風呂の浴槽や風呂桶の製作を行っています。その早川木材の専務取締役・小池英仁さんは、風呂桶製作の技術を応用して、ドラムを作りはじめました。地元の木材を使い、早川さん自身の手によって伝統的な技法で作られる「風呂桶のドラム」。そのドラムがどのように生まれ、どのように作られ、どのように受け入れられているのかを追いかけました。

【制作意図】
桶の製法を全く新しい別のものに応用するという斬新な発想。その一方で、守り続ける職人としての木へのこだわりと伝統的な技術。「風呂桶のドラム」を通じて、「新しさ」と「昔ながら」の共存のあり方のひとつを示せればと思っています。そして、こういった情熱のこもったものが、しっかりとユーザーに届いていることをはっきりと描きたいと思い、制作しました。

【制作後記】
小池さんの「技術」と「発想」は、我々の日常でも必要なことです。人の心を動かすものにはその両方が備わっているのだと、改めて認識させられました。また、日常で親しむ音楽を支える楽器、そのひとつひとつにもドラマがあり、職人のこだわりがあり、魂が込められていることも、改めて教えてもらいました。それは、自分の身の回りにある何気ない物も例外ではありません。そういった部分への想像をふくらませることができる人間でありたいと思いました。

声を持たないコウノトリ 日本の空に戻る

2022年8月1日~2022年8月7日放送 
ラジオ関西 報道制作部 高塚恵子

【番組概要】
国の特別天然記念物、コウノトリ。羽を広げると2メートル以上にもなる大きな、そして白と黒の美しい鳥です。一度は日本の空から消えましたが、野生復帰への取り組みなどが行われ、その数も増えてきています。そんなコウノトリの鳴き声、聞いたことありますか?実は鳴かない、というより鳴けない鳥です。。コミュニケーションはくちばしを鳴らすクラッタリングで。鳴き声があるのは、卵から孵化して巣立ちまでのわずかな期間だけです。コウノトリがどんな鳥なのか、人間と共生するには何が必要か、関係者の言葉をヒナの声とともにお送りします。

【制作意図】
コウノトリは兵庫県の県鳥。とはいえ、その姿は豊岡や生息地域以外ではなかなか目にすることはありません。どんな鳴き声なんだろう?調べてみると実は鳴けない、鳴くのはヒナの間のわずかな期間だけ。そんな貴重なヒナの声を聞いてみたいというところから企画しました。

【制作後記】
コウノトリは警戒心が強い鳥なので、ヒナの声を聞きたい、と思っても果たしてうまく録れるのか。飼育施設でタイミングよくヒナが孵化してくれるのか。最初は不安でいっぱいでした。県立コウノトリの郷公園の船越稔さんたちの協力の下、レコーダーを飼育施設の巣の近く放置、数時間後レコーダーを回収し、音を確認しました。でも聞いたことがないので、どの音がヒナの声なのかわかりません。「え?これ?馬?怪獣?」と思った声(音)がヒナの声。最初は驚きましたが、聞いているうちに親近感がわき、かわいく思えるようになりました。一度は「絶滅」したコウノトリですが、少しずつその数は増えつつあります。かつてのように優雅に飛ぶ姿を、各地で見られる日が来てほしいと、願うとともに、私たちにできることは何か考え、できることからやっていきたいと感じました。

コーヒーを表舞台に!~高知生まれの“はちきん珈琲”

2022年7月25日~2022年7月31日放送 
高知放送 クロスメディア推進局ラジオ戦略部 梅木 敦裕

【番組概要】
今年の3月、初めて高知県産のコーヒー豆「はちきん珈琲」が収穫されました。栽培に成功したのは高知市の喫茶店「コーヒー研究所・M」のオーナー 多和昌子さん。外国からの輸入が多く国内での栽培が難しいとされるコーヒー豆をなぜ高知で栽培しようとしたのか。それは、「コーヒーを表舞台に出したい」という多和さんのコーヒーに対する熱い思いがありました。高知生まれの「はちきん珈琲」が誕生するまでの経緯や苦労、そして「高知でコーヒー豆を育てたい」という熱い思いが乗った多和さんの言葉を皆さんにお届けします。

【制作意図】
外国からの輸入が圧倒的に多く、気候的な問題などもあり国内での栽培は難しいとされるコーヒー豆。そんなコーヒー豆を「高知で育てたい!」と栽培に挑み、長い期間をかけてお客さんに届けることができた多和さんの物語を多くの人に伝えたいと思い取材しました。またコーヒー豆の栽培に挑んだ際、周りからの冷ややかな声や失敗などを数多く経験した多和さん。それでも「高知でコーヒー豆を育てたい」という熱意が溢れる印象的な言葉はコーヒー作りに限らず、何かに挑む人たちの糧になると思い、今回取り上げさせていただきました。

【制作後記】
取材の時に私も「はちきん珈琲」を頂きました。私は普段、職場であまりメーカーにもこだわらずに缶コーヒーを飲んでおり、「そんな私にコーヒーの味の違いが分かるのかな…」と思いながら頂いたのですが、飲んだ瞬間、深いコクと不思議な爽やかさを口の中で感じ、思わず「おおっ!」と唸ってしまいました。普段、自身がオーナーを務める喫茶店でお客さんの好みを聞いて商品を出すほど、コーヒーに対しての知識と情熱がある多和さん。それだからこそ作ることができた「はちきん珈琲」であるとその一杯で感じることができました。また、コーヒー豆を栽培するハウスにも伺ったのですが、多和さんのご厚意で私もコーヒー豆の種をまき、順調にいけば2か月程で芽が出るということなので「早く芽が出ないかな」と楽しみにしております。

2022年7月 8日 (金)

おらが湊鐡道夫婦(めおと)デュオ

2022年7月18日~2022年7月24日放送 
茨城放送 編成事業部 菊地真衣

【番組概要】
茨城県ひたちなか市を走る第3セクターの『ひたちなか海浜鉄道』。かつては湊鐡道としてこの地で歴史を重ねてきました。勝田駅から阿字ヶ浦駅までの11駅14.3キロを結ぶこの路線は、観光客や地域の人たちの足として親しまれています。『私たちの湊線を守りたい』と立ち上がり、15年、開業当時の面影が色濃く残る那珂湊駅の待合室のベンチで、毎週末ギターを手に歌い続けるみなと源太さんは、妻のゆうこさんと共に息の合った演奏とハーモニーで駅利用客を和ませています。上下列車が来るまでのつかの間ステージで披露されたのは、源太さんの幼少期の湊線での思い出を歌ったオリジナルソング『季節の風』、中島みゆきの『ホームにて』、そして、阿字ヶ浦から海浜公園までの延伸の願いを込めて作られた『未来の街まで』の3曲です。廃線危機から鉄道を支え、行きかう駅の利用客を歌声で迎え、歌声で送りだす、そんなあたたかな地元の音をお届けします。

【制作意図】
春夏秋冬多くの観光客が訪れるひたちなか市。観光する人たちにとって欠かせない存在でもあるひたちなか海浜鉄道は、『ディーゼルカー1両編成』、『車両がホームにやってくるのは30分に1本』…といわゆる典型的なローカル線。昨年には国から延伸許可が下りるなど時代に逆行し勢いのある路線と言えます。しかし、1913年の開業以来ずっと順風満帆だったわけではありません。モータリゼーションの流れなどを受け、経営努力を行うも一時は廃線の危機に。さらに、その後も東日本大震災や新型コロナウイルスなど、さまざまな局面を乗り越えてきました。現在のひたちなか海浜鉄道があるのは、『どうにかして盛り上げたい、守りたい』と、それぞれにできることを探しながら熱い想いを注いできた地元の人たちの存在無くして語れないと感じ、今回の企画を考えました。みなと源太さんとゆうこさんの演奏は、15年同じ場所で歌い続けていることで、その『音』自体が地元の名物となっています。ちなみに3曲目の歌詞にある『いやどうも』『かえってどうも』は茨城県内で交わされる挨拶の言葉です。まだまだ続くコロナ禍の中、ラジオを通して届けることで、その音にいつか会いに来てほしい、という願いも込めて制作しました。

【制作後記】
私がみなと源太さんと初めてお会いしたのは1年前。私自身車ユーザーのため鉄道を利用する機会が少なく、初めて那珂湊駅での演奏を目の当たりにしたときはあまりのあたたかさに心が震えたのを覚えています。また、昨年も録音風物誌の制作を担当しましたが、もし今年も機会があるのなら、絶対みなと源太さん夫婦を取り上げたいと考え、企画を温めていました。コロナ禍で演奏することもままならなかったときもありましたが、今年のゴールデンウィークには蔓延防止等重点措置も解除され、県内外からひたち海浜公園のネモフィラを目当てに、多くの観光客が訪れ、源太さん自身も演奏にも力が入っているようでした。収録を行ったのがまさにこのGW期間中で、待合室にも老若男女多くの人がおりました。ひとたび演奏が始まると、スマホに目を落としていた人は顔をあげ、ヘッドホンをしているひとは外して聴き入る様子も見られました。素材編集に関しては、利用客の話し声、切符売り場の小銭の音など、景色がわかるように録音を行いました。また、このあたたかい風景と、この路線が未来へ続いてほしいという思いを、ステレオ収音マイクで録った走り出す列車の音を最後に使用することで表現しました。



新潟に笑顔の花を!華やぎちんどん隊

2022年7月11日~2022年7月17日放送 
新潟放送 ラジオ放送部(BSNウェーブ)吉田亜弥

【番組概要】
新潟にはパフォーマンス集団「華やぎちんどん隊」がいます。ちんどん隊というと、派手な格好と楽器を鳴らし、街を練り歩くイメージがありますが、この華やぎちんどん隊は、さらにパフォーマンスまで出来るちんどん隊なのです。なぜかというと、お芝居の中から結成されたので、皆さんが役者経験の持ち主。コロナ禍で落ち込んだ気持ちを明るくしてくれる「華やぎちんどん隊」を取材しました。

【制作意図】
華やぎちんどん隊のメンバーが奏でる音楽、パフォーマンス、そしてみなさんの笑顔をラジオを通じてお伝えたいと思い制作しました。結成秘話や華やぎちんどん隊の特徴、そしてメンバーの思いなどを演奏にのせてお送りしています。今となっては懐かしい存在である「ちんどん隊」が、さらに現代風になった新潟の華やぎちんどん隊の活動で笑顔の花を咲かせたいという思いを取材しました。

【制作後記】
華やぎちんどん隊のメンバーは役者経験がある方々なので、演奏のほかにミニお芝居が始まったり、ダンスが始まったりと本当にパフォーマンス集団なんだと感じました。パフォーマンスを見ていると、子供から大人までみんなで楽しむことができ、自然と笑顔になるので、これからもっともっと多くの人の笑顔を作っていって欲しいと思いました。


2022年7月 1日 (金)

山は自然のミュージアム

2022年7月4日~2022年7月10日放送 
北陸放送 ラジオ開発部 中川留美

【番組概要】
石川県白山市尾添地区は白山のふもとにある高原で周囲にブナ原生林が広がっています。地元の旅館女将、北村祐子さんは自然を楽しむノルディックウォーキングを企画し、自然の生き物や地域の歴史を話をしながら山を案内しています。ブナ原生林に入ると、山から清水が流れ、鳥たちの鳴き合う声が聞こえてきます。ブナの木漏れ日の中はまるで音楽ホールのような感じです。ノルディックウォーキングに参加する人たちも木の香りをかぎ、谷間から吹く風に心地よさを感じます。白山に祀られた仏像は地域に住む人たちが大切に守ってきたという話もありました。鳥たちの鳴き声とノルディックウォーキングで自然を楽しむ人たちの様子を取材しました。

【制作意図】
日本三名山のひとつ、霊峰白山のふもとにある白山市尾添地区。ブナ原生林や高山で見られるような草花、野生の生き物たちが生きている場所であり、地元に住む人々が白山に祀られていた仏像などを守ってきた歴史も残るところです。山の中に入ると、何十種類もの鳥たちの鳴き声が聞こえてきます。四季を通して何度も訪れたいと思えるミュージアムにいるような感覚になり、鳥たちのさえずる音、木漏れ日の美しさ、木の香り、土の感触、五感で感じられる山の素晴らしさを表現したいと思いました。

【制作後記】
取材を通して、鳥たちのさえずりに驚きました。山の中には何十種類もの鳥たちが鳴き合っていて、何時間でも聞いていられるような心地よさがありました。ブナの落ち葉でフカフカになっている土を歩き、木々の香りをかぎ、普段の生活では感じられない時間を過ごすことができました。

福島県初の女性養蜂家 奮闘の日々

2022年6月27日~2022年7月3日放送 
ラジオ福島 編成局放送部 嘉数夕稀子

【番組概要】
自然豊かな郡山市田村町の山間に、県内で初めて女性の養蜂家として認定された方が営む養蜂場があります。義理の父親が高齢の為に養蜂場を閉じようとしていました。そこで彼女は周りからの後押しもあり後を継ごうと決意します。しかし、、実際は力仕事が多く女性には大変な作業ばかりでした。滅入る気持ちを支えてくれたのは、懸命に働く蜜蜂たちの姿でした。そんな蜜蜂に愛情を注ぎ、日々の作業を丁寧に欠かさず続けます。養蜂の仕事の中で最も重要な採蜜の日。巣枠に蜂蜜がたくさんたまっていていました。努力が報われた瞬間でした。養蜂を続けていくうちに、自分なりの蜜蜂への向き合い方を見出だす彼女の姿を音を通してお伝えします。

【制作意図】
以前電話で取材をした養蜂業の女性に、直接会ってもっとお話を伺いたいと思いました。その時にお話しされていた、女性だからこその悩みや苦労・喜びなどを作業音とともに伝えたいと考え、制作しました。

【制作後記】
日の出時刻早朝4時からの作業に同行しました。取材中に2回も蜜蜂に刺されて、はじめて感じる痛みに耐えながら収録しました。収録後、採れたての蜂蜜を食べると今までの苦労が吹き飛びました。このために養蜂をやっているんだという言葉を身をもって感じました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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