伝統のバトンを繋いで 〜桜島の新しい春〜
2026年4月13日~2026年4月19日
MBC南日本放送 ラジオセンター音声メディア部 立和名梨絵
【番組概要】
鹿児島市からフェリーで約15分、桜島の東側に位置する鹿児島市立黒神小学校は、148年という長い歴史を持つ学校です 。これまで大規模な噴火による廃校や休校といった幾多の困難を地域住民と共に乗り越えてきましたが、少子化や教育環境の変化に伴い、2026年3月にその歴史に幕を閉じました 。閉校時の全校児童は、6年生のこうさんと1年生のちかさんのわずか2人 。3月11日に行われた閉校式では、こうさんが「この学校での思い出はいつまでも色褪せない」と力強く決意を述べ、卒業生や地域の方々が一体となって最後の校歌を歌い、慣れ親しんだ学び舎に別れを告げました 。そして2026年4月1日、桜島内にある8つの学校がひとつに統合され、義務教育学校「桜島学校」として新たな一歩を踏み出しました 。新しい門出に際し、鹿児島出身の俳優・歌手である上白石萌音さんが作詞、吉俣良さんが作曲を手がけた新しい校歌が無償で贈られました 。歌詞には「桜島」という直接的な言葉こそ入っていないものの、みかんの小道や海を進む船など、故郷の情景が色鮮やかに描かれています 。子どもたちは、黒神小学校で育まれた伝統や思いを胸に、新しい学び舎で未来へと歩み始めています 。
【制作意図】
この番組は、時代の潮流の中で姿を消していく伝統校の最期を記録するとともに、形を変えて受け継がれる「郷土愛」のバトンを描くことを目的としています。まず、厳しい自然環境と共生してきた黒神小学校の歴史と、最後を飾った2人の児童の日常を音で切り取ることで、「地域の記憶」をアーカイブ 。閉校という寂しい出来事だけでなく、卒業生や地域住民が口にする「桜島大根や椿油などの活動を続けてほしい」という願いを紹介することで、学校が地域文化の核であったことを浮き彫りにしています 。また、新設された桜島学校の校歌を作曲した作曲家吉俣良さんのインタビューや、新しい校歌の歌詞に込められた想いを通じ、学校が統合されても「ふるさとの情景」や「共に生きる喜び」は変わらずに守られていくという希望を提示しています 。慣れ親しんだ校歌から新しい校歌へと歌い継ぐ子どもたちの前向きな姿を描くことで、過疎化や学校再編に向き合う地域社会へ、温かなエールを送る構成となっています 。
【制作後記】
今回の取材では、10回以上桜島へ足を運びました 。フェリーで渡るたびに、桜島は刻々とその表情を変え、自然の雄大さと厳しさを教えてくれます 。全校児童わずか2人という環境に、最初は少子化の深刻さを肌で感じ、どこか寂しさを抱いて取材を始めました 。しかし、そこで出会った「こうさん」と「ちかさん」は、そんな不安を吹き飛ばすほど元気いっぱいで、自分の言葉でしっかりと想いを届けてくれるお話上手な子どもたちでした 。(ちかさんはちょっぴり人見知りでしたが、少しずつ学校のお話をしてくれました)地域の方々と対話を重ねる中で見えてきたのは、148年の歴史を誇る黒神小学校への深い愛着と、それを支えてきたコミュニティの絆です 。閉校は確かに寂しい出来事ではありますが、子どもたちは決して過去だけを振り返っているわけではありませんでした 。彼らは母校を愛しながらも、新しく始まる「桜島学校」での生活を心から楽しみにしており、その眼差しはしっかりと未来を見つめていました 。この番組を通して、伝統のバトンが次世代へと前向きに引き継がれていく、桜島の新しい春の息吹を感じていただければ幸いです 。








コメント