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2017年11月

2017年11月17日 (金)

松江ゴーストツアー~八雲の足跡を辿って~

2017年11月13日~2017年11月19日放送 
山陰放送 コンテンツ局報道部 森谷佳奈

【番組概要】
島根県松江市を代表する作家・ラフカディオ・ハーン。別名、小泉八雲。世界を転々とし、松江にやってきた彼は、その地で「怪談」を綴りました。作品には、「雪女」「耳なし芳一」があり、誰しも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。こうしたなか、松江市では、10年前から、八雲の怪談ゆかりの地を巡るゴーストツアーが開催されています。ツアーは日没後にスタートし、語り部と共に市内を練り歩きます。暗闇に身を委ねると、聞こえてくるのは松江の夜の音とおどろおどろしい怪談話。しかし最後には、八雲が怪談に込めた心温まるメッセージを感じることができます。八雲の綴った怪談とその背景にあった松江の音風景。彼の足跡を辿る旅に皆様をご案内します。

【制作意図】
松江市は、山陰地方の中でも風情のある町のひとつです。この歴史深い景観をどうにか音で伝えられないかと考えた時に、松江ゴーストツアーと出会いました。
取材をしてみると、夜だからこそ感じることのできる音景色が広がり、怪談話がより一層鮮明に聴こえてきました。怪談とともに、五感を研ぎ澄まして、八雲の生きた松江の世界観を感じてもらえればと思います。

【制作後記】
松江ゴーストツアーでは、小泉八雲の怪談の舞台となった場所を巡るので、彼が過ごした松江の情景を感じることができます。取材をしてみて、普段何気なく過ごしていると分からない音や景色もあり、昔から変わらない早朝のシジミ漁の音、どう行列の太鼓の音、そして静寂の中から聞こえる水音や虫の音などが現代の松江に継承されていることに気づきました。

同時にこれが未来へ伝えていくべきものではないかと感じています。
また、八雲の怪談には怖さと、愛が詰まっています。それはどこか、日本人特有の愛情表現に思えてくるから不思議です。きっと松江を愛していた八雲のことですから、心はすでに日本人だったのでしょう・・・。



2017年11月 8日 (水)

秋の恵みとインディアン水車

2017年11月6日~2017年11月12日放送 
北海道放送 HBCフレックス 氏家誠一

【番組概要】
「秋あじ」とも言われ秋の恵みとして北海道民に一番親しまれている魚、「鮭」。その鮭のふ化事業をおこなっている千歳川には遡上してきた鮭を捕獲する捕魚車、通称インディアン水車があります。その水車が回る豪快な音。鮭の捕獲時の生きのいい鮭が跳ねる音。それに専門家の方に教えて頂いたサケのふ化事業の歴史、インディアン水車についての解説を加えて構成しています。

【制作意図】
昔は秋になると道内いたるところの川で鮭が遡上していました。しかし、時の流れと共に遡上する鮭が減ってしまいました。北海道の千歳川は日本で最初の鮭のふ化事業が始まった川であり、その鮭の捕獲のために設置されたインディアン水車は秋の風物詩として千歳市民だけでなく北海道民に親しまれています。その水車が豪快に水を掻き揚げる音、捕獲した時、鮭が飛び跳ねる音を使った番組から北海道の秋、鮭との長い歴史をお伝えしたいと企画しました。

【制作後記】
予定していたパーソナリティーが病気の為NGとなり、考えていた企画がダメになってしまいました。急遽、別のパーソナリティーにお願いをして制作しましたが、意図していたものとちょっと変えざるを得なかったのが残念です。ただ、取材時はラッキーにも結構鮭が上がっていた日で、捕獲され豪快に跳ねる音が新鮮でした。この取材で改めて、鮭が我々北海道に住む人にとって大切な魚だと認識できました。千歳水族館の館長さんも非常に協力的で助けられました。

2017年11月 2日 (木)

八幡靴を守るたった一つの工房~靴職人の思い~

2017年10月30日~2017年11月5日放送 
KBS京都 ラジオ編成局制作部 永田和美

【番組概要】
滋賀県近江八幡市の伝統産業、八幡靴。昔は町内のほとんどの方がこの八幡靴に関わるほどの主力産業でした。しかし、大量生産や海外の安価な革靴に負け、八幡靴をつくる工房は有限会社リバーフィールドたった1社を残すだけとなりました。ベテラン靴職人2人を中心に中堅・若手の職人2人、そして研修生3人の7人で靴を作っています。番組ではこのベテラン靴職人2人を中心にお話を伺いました。靴作りの工程すべてをお伝えすることができませんが、革をたたく音、革を削る音などをお聞きいただきながら、職人2人がポツポツと語る中にある、靴への愛情を感じていただければ幸いです。

【制作意図】
近江八幡市の伝統産業である八幡靴は、昭和のはじめころ最盛期を迎えます。靴職人の藤田さんがお話いただいたように生まれる前からこの仕事に就くと決まってたというように町内のほとんどの方が関わるような主力産業でした。それがここ数十年で1店舗を残すのみ、一時期は職人が3人しかいないというまでになりました。一足一足手作りで作られる八幡靴は、大量生産のものとは違い一つ一つ思いをこめて丁寧に作られます。お客さんの足にフィットするのはもちろんですが、職人が靴に対するこだわりを持ち、磨き上げることで出来上がる靴はほかの何にも替えがたいものがあります。ふるさと納税の返礼品になったことで注目を集め、注文数も増え、軌道に乗りかけている八幡靴。それでも、工程を変えるつもりはなくオーダーメイドで一足一足お客さんの足に合わせて作っていくというこだわり。靴という完成品そのものだけでなく、その工程にも目をむけ、職人の思いまで感じ取っていただきたいと思い、制作しました。


【制作後記】
代表の川原さんはもともと八幡靴を卸して販売していた会社だったのですが、工房の棟梁が無理だとなった際、これではいけないと八幡靴の工房を引き継いだそうです。当初大きな工房の中には職人が3人しかいなかったのが今は研修生も受け入れ、7人にまでなり、にぎやかになったとうれしそうに話されていたのが印象的でした。まだ八幡靴の後継者不足の課題は完全に解決とまではいきません。ですが研修生のお話を聞いていても、靴作りへの思いをもって仕事をされていて、それはベテラン靴職人であるお二人の思いと重なる部分があるなと感じました。やり方は少しずつ近代的なものを取りいれていったとしても、靴作りに対する思いは変わらずそこにあり続けてほしいと強く感じた取材となりました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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