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2017年11月 2日 (木)

八幡靴を守るたった一つの工房~靴職人の思い~

2017年10月30日~2017年11月5日放送 
KBS京都 ラジオ編成局制作部 永田和美

【番組概要】
滋賀県近江八幡市の伝統産業、八幡靴。昔は町内のほとんどの方がこの八幡靴に関わるほどの主力産業でした。しかし、大量生産や海外の安価な革靴に負け、八幡靴をつくる工房は有限会社リバーフィールドたった1社を残すだけとなりました。ベテラン靴職人2人を中心に中堅・若手の職人2人、そして研修生3人の7人で靴を作っています。番組ではこのベテラン靴職人2人を中心にお話を伺いました。靴作りの工程すべてをお伝えすることができませんが、革をたたく音、革を削る音などをお聞きいただきながら、職人2人がポツポツと語る中にある、靴への愛情を感じていただければ幸いです。

【制作意図】
近江八幡市の伝統産業である八幡靴は、昭和のはじめころ最盛期を迎えます。靴職人の藤田さんがお話いただいたように生まれる前からこの仕事に就くと決まってたというように町内のほとんどの方が関わるような主力産業でした。それがここ数十年で1店舗を残すのみ、一時期は職人が3人しかいないというまでになりました。一足一足手作りで作られる八幡靴は、大量生産のものとは違い一つ一つ思いをこめて丁寧に作られます。お客さんの足にフィットするのはもちろんですが、職人が靴に対するこだわりを持ち、磨き上げることで出来上がる靴はほかの何にも替えがたいものがあります。ふるさと納税の返礼品になったことで注目を集め、注文数も増え、軌道に乗りかけている八幡靴。それでも、工程を変えるつもりはなくオーダーメイドで一足一足お客さんの足に合わせて作っていくというこだわり。靴という完成品そのものだけでなく、その工程にも目をむけ、職人の思いまで感じ取っていただきたいと思い、制作しました。


【制作後記】
代表の川原さんはもともと八幡靴を卸して販売していた会社だったのですが、工房の棟梁が無理だとなった際、これではいけないと八幡靴の工房を引き継いだそうです。当初大きな工房の中には職人が3人しかいなかったのが今は研修生も受け入れ、7人にまでなり、にぎやかになったとうれしそうに話されていたのが印象的でした。まだ八幡靴の後継者不足の課題は完全に解決とまではいきません。ですが研修生のお話を聞いていても、靴作りへの思いをもって仕事をされていて、それはベテラン靴職人であるお二人の思いと重なる部分があるなと感じました。やり方は少しずつ近代的なものを取りいれていったとしても、靴作りに対する思いは変わらずそこにあり続けてほしいと強く感じた取材となりました。

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