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2015年9月

2015年9月18日 (金)

ふるさとをのんびりと~観光列車「おいこっと」の旅

2015年9月21日~2015年9月27日放送
信越放送  ラジオ局編成制作部  小林万利子

※2015年度録音風物誌番組コンクール入賞作品
優秀賞受賞 再放送です。

【番組概要】
これまで「長野新幹線」として東京~長野間をつないだ路線が、この春さらに北に延び、「北陸新幹線」として金沢につながりました。東京にも北陸にも「近く」「速く」なった長野県。けれど、できれば「のんびり」「ゆっくり」と、この地域の良さを感じてもらえたら、という願いを込めて、北陸新幹線と同時期に誕生した観光列車が「おいこっと」です。「おいこっと」という名は「TOKYO」を逆さまに読んだもの。車両デザインは「古民家風」、販売サービス担当は「もんぺ姿」、地元の味のサービスもあり!田舎の魅力を目いっぱい詰め込んだ「おいこっと」の旅を、音でお楽しみください。

【制作意図】
交通網の発展は、旅を便利にスピードアップさせます。その一方で、急ぐことで見えなくなってしまうものも・・。「おいこっと」は、北陸新幹線と並行して北進する「飯山線」を、あえて、ゆっくりのんびり走ることで、この地域「北信濃」の魅力を実感していただける観光列車です。車内放送を担当するのは、北信濃出身の俳優・常田富士男さん。おなじみの味わい深い声で、「おいこっと」の旅を案内してくれます。また、ここは童謡唱歌の作詞作曲者を数多く輩出した地。唱歌「ふるさと」の作詞者・高野辰之は、この辺りの「かの山」「かの川」を歌にしたのです。車窓からの眺めを想像しながら聴いて下さい。

【制作後記】
ゆっくりのんびり田舎満喫の「おいこっと」。お客さんは中高年層が中心、かと思いきや、中高生からOLグループ、小さい子を連れたママさんなど、予想以上に若い人たちも多く、驚いたと共に、ちょっと嬉しくなりました。皆さん口を揃えて、「すごくいい」「楽しい」「のんびりできる」と感想を述べ、年齢層の違う知らない同士でも、なんとなく会話が弾んで盛り上がっていたりして・・。「おいこっと」の目指すところは「田舎のおばあちゃんの家」。訪れた様々な人たちを温かく包み込むようなこの列車の魅力は、まさにここ北信濃の人々の「おもてなし」の心がもたらしているのだと感じました。

音で魅せる祇園祭~復活の大船鉾2年目の思い~

2015年9月14日~2015年9月20日放送
京都放送 ラジオ編成制作局制作部 永田和美

【番組概要】
京都三大祭りの一つ祇園祭。7月から1か月間行われる1000年を超す歴史があるお祭りです。そのハイライトの一つが33基の山鉾が街中を巡行する山鉾巡行。この巡行に去年150年ぶりに復活を遂げたのが大船鉾でした。復活への道のりは険しく関わった人たちが150年の思いを繋げ、ようやく去年形になりました。番組の冒頭のコメントは去年巡行を終えてインタビューした時の木村さんの音声です。復活がゴールではなくこれからスタートだといった木村さん。それから1年後の今年、どんな気持ちで巡行に挑みまた思いを繋げていくのか追いかけました。また祇園祭を音で捉え、7月に入ると京都の町がどんどん祇園祭の音で包まれる雰囲気を感じていただければ幸いです。

【制作意図】
7月を迎え、町のあちこちで祇園囃子が聞こえると、あぁ、この時期が来たなと音で実感する事も多い祇園祭。番組では、去年150年ぶりに復活を遂げた大船鉾を追いかけながら、音で祇園祭を少しでも感じてもらえたらと思い制作しました。、また、復活を遂げた大船鉾ですが、復活した事がゴールでなく、ここからまた継続していかなくてはなりません。志をつなぎ、また来年に向かう大船鉾を感じていただければ幸いです。

【制作後記】
祇園祭は様々な方向から楽しむことができます。歴史をとっても動く美術館と言われる懸想品を楽しむ事も。。。そんな中、音に注目すると様々な音にあふれていました。縄を縛る音、目の前をギシギシいいながら鉾が通る音。そんな音に注目して楽しんでいただくのもまた一つ魅力かなと思います。そして掛け声も大船鉾は2年目の巡行ですが去年より掛け声も大きく力強さを感じました。毎年こうして進化しながら思いを繋いでいく大船鉾をはじめ山鉾町を感じるのもまた楽しみの一つです。

皆生トライアスロン~もう一人のアスリート~

2015年9月7日~2015年9月13日放送
山陰放送 テレビ総局報道部 岡村帆奈美

【番組概要】
毎年7月に行われている「全日本トライアスロン皆生大会」。全国からこの皆生大会に参戦すべく、鉄人たちが集まります。しかし、主役は鉄人たちだけではありません。今回は大会を支える地域のボランティアスタッフに密着しました。温泉街の熱い一日、もう一人のアスリートといわれるボランティアスタッフの奮闘をお伝えします。

【制作意図】
鳥取県米子市皆生というと、真っ先に「皆生温泉」をイメージする方が多いかもしれません。しかし実は、全国でも有数の温泉街が日本のトライアスロン発祥の地だったのです。トライアスロン皆生大会を取り上げることで、皆生の別の顔が伝わればと思います。また、ボランティアスタッフなど街を挙げての取り組みや影の奮闘を知っていただければと思い制作しました。

【制作後記】
7月19日、猛暑の中行われた大会を終日追うのはとても大変でした。スタート音、スイム、バイク、ラン・・・とどのように音を収録すればよいか悩みましたが臨場感が伝わっていれば幸いです。また、ボタンティアスタッフの支えがなければ大会の運営ができないということが取材を通してよく分かりました。ボランティアスタッフに密着したことで、地域の「人」の温かさなども感じていただけたらと思います。

2015年9月 1日 (火)

東郷文弥節人形浄瑠璃

2015年8月31日~2015年9月6日放送
南日本放送 ラジオ制作部 七枝大典

【番組概要】
鹿児島県薩摩川内東郷町斧渕(とうごうちょう おのぶち)。
ここは、国の重要無形民俗文化財にも指定される「東郷文弥節(とうごうぶんやぶし)」が残る街。この「東郷文弥節人形浄瑠璃」は、江戸時代前期に上方を中心に活躍した浄瑠璃太夫 岡本文弥が語り始め、「なき節」とも呼ばれるように、どこか寂しげな雰囲気が特徴。語り太夫(義太夫)、三味線、拍子木、太鼓、そして着物姿の男女の人形(人形遣い)で構成されます。一時期は上方を中心に人気を誇りましたが現在は新潟県佐渡市、石川県白山市、宮崎県都城市、そして鹿児島県東郷町の4県に残るのみとなりました。明確な記述は残っていませんが、300年以上続く伝統の「東郷文弥節人形浄瑠璃」をご紹介します。

【制作意図】
「東郷文弥節人形浄瑠璃」は全国に4ヶ所にしか残っていない「古浄瑠璃」の1つ。300年以上前から東郷町で演じられていますが、県内での知名度は高いとはいえません。少しでも多くの方に「東郷文弥節人形浄瑠璃」を知っていただきたいという思いと、「伝統芸能に関わるきっかけのヒント」を、子供の頃から関わっている立場と大人になってから関わるようになった方へのインタビューを通して伝えられればと思い、制作しました。

【制作後記】
鹿児島県民でも「東郷文弥節人形浄瑠璃を知っている」と言うと、「かなりの鹿児島通だね」といわれるほど(国の重要無形民俗文化財に指定されているのに・・・)、「貴重な」伝統芸能。他の地域と同じように「高齢化と後継者問題」を抱えていますが、「自分達が楽しそうに演じていれば、このあとにも残せるんじゃないか?(後世に)つないでいけるんじゃないか?」という姿勢で取り組んでいらっしゃることが印象的でした。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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