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2007年8月

2007年8月27日 (月)

日和佐の大きな古時計

四国放送 ラジオ編成制作部 片山 洋介

徳島県海部郡美波町(旧・日和佐町)奥河内の岸本廣江さん宅の居間の大きな振り子時計は、明治、大正、昭和、そして平成と110年以上にわたって、時を刻み続けている。

20年ほど前までは通に面した部屋にかけられていて、登下校する子供たちや、買い物に出かけた主婦たちが時間を確認する「日和佐の標準時計」として地元の人々に親しまれてきた。

また、同時にこの時間は岸本家を見つめ続けてきて、その存在はまさに「岸本家の歴史」そのものだと言える。岸本廣江さんに話しを聞く。

2007年8月20日 (月)

海女の恋歌~なんぼや~

福井放送 ラジオセンター 越桐 清司

すぐ近くに奇勝「東尋坊」を望む福井県三国町安島地区。ここに伝わる民謡が「なんぼや踊り唄」です。

「なんぼや」とは、江戸時代南部地方(現在の青森県東部と岩手県北部)から北前船によって伝わったことから「南部や」が「なんぼや」になったそうです。

安島地区は、その地が海の近くにある岩盤だったために農作物の栽培には適さず、男性の大半が船員として出稼ぎに行きました。その間、女性たちは留守宅を守り、海女としてその幸を収穫しながら子供たちを育てました。

その海女たちによって伝えられたのが「なんぼや」なのです。その中には、夫や恋人の帰りを待つ女心を綴った恋唄なども収められておりその数は、全部でなんと260節。

テンポがゆっくりとしていて鳴り物が入らないのが特徴です。終戦後の混乱で「なんぼや」は、途絶えていましたが、昭和30年ごろから復活。現在では保存会の人たちと学校の先生が協力。小学校の授業でも歌われ、後世に伝えられています。

2007年8月13日 (月)

手織りの味を守る上田紬

信越放送 ラジオ制作部(フリーランス) 塩入 美雪

日本を代表する三大紬の中に上田紬があることは、地元でも知る人が少なくなってきた現代。江戸時代から伝わってきた伝統がなくなりかけた時に「ふたたび火を灯し、作り方を守ってきた紬工房の人々の想いをお届けします。

上田紬の良さは丈夫さ。
横糸をよくたたき込んであるから、裏地を3回取替えても表地は大丈夫という強さになるようです。

昔は各家で自分たちの着るものを作っていました。今手作りの良さやぬくもりが見直されていますが、一旦途絶えてしまった技術や伝統は、復活させるのが容易ではありません。

その技術を絶やさないよう、後進を育成しつつ、人のぬくもりを大事にし、現代でも通用するデザインや色あいで次世代へ伝統を紡いでいきます。

2007年8月 6日 (月)

藍とともに生きる

東北放送 ラジオ局編成制作部 佐々木 雄祐

緑深い山々に囲まれた、宮城県栗原市栗駒文字地区に平安時代から行われてきた、染織技法「正藍染」(又は「正藍冷染」)を受け継ぐ藍染の工房があります。

その技法を代々受け継いできた千葉家。現在藍染作業の中心になっているのは千葉まつ江さん(77歳)です。まつ江さんは藍の栽培から染めの作業、製品化まで一貫して行っています。

藍で生地を染めるためには藍を発酵させる必要があります。人工的に発酵させるのが一般的ですが、千葉家では熱を使わず、夏の気温変化のみによって発酵させています。

そのため染めの作業が出来るのは、6月から7月の40日だけです。気温や湿度によっても染まり具合が左右される正藍染、まつ江さんは一枚一枚「いい藍色が出るように」と祈りながら染めあげます。

その想いを映し出し、生地はやさしい藍色に染まります。今年の染めの作業は7月15日で終了しましたが、まつ江さんはこれからも藍とともに生き続けます。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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