2013年4月 4日 (木)

石臼挽きで香り立つ、紀州のぶどう山椒

2013年4月1日~2013年4月7日放送
和歌山放送 報道制作局 報道制作部 花井 歩高


 和歌山県の特産「ぶどう山椒」。
つくだ煮や粉山椒の原料で生産量は日本一、実が大きくひときわ辛みが強いのが特徴です。
この山椒のおいしさを生かそうと、昔ながらの石臼挽きで粉山椒を作っている店が海南市にあります。

 紀州徳川家にロウソクをおさめ、明治時代には薬問屋だったというこの店は、高野山につながる街道沿いにあります。蔵に囲まれた木造建築は天守閣のように周囲を見渡せる3階建て。牛や馬に挽かせていた、という一抱えほどもある石臼が庭石になったりと、かつての雰囲気を今に伝えます。

 山椒は、まるごとに挽いてしまうと香りがとんでしまうそうで、この店では種と皮を取り除いてから、熱の加わりにくい石臼でていねいに挽いています。作業場はもちろん、店に入るなりさわやかな香りが広がります。勧められるまま、チョコレートにほんの少しの粉山椒をのせ口に入れてみると、しびれるような刺激と柑橘の香り、そのあとチョコの甘みが際だってきます。味覚が鋭くなった、そんな感覚です。

 社長の土田高史さんによりますと、フランスやイタリアなどに販路を広げ、評価も高いということで、ジャパニーズペッパー=山椒を見直すきっかけになればと話しています。

2013年3月22日 (金)

新潟のギターフロンティア

2013年3月25日~2013年3月31日放送
新潟放送 ラジオセンター 高橋紀子

  新潟初の中古ギター専門店ギターフロンティア。
2年前、新潟市の100円ショップの隣に7坪のお店をオープンさせたのは、ゲイリー鈴木こと、鈴木清幸(きよゆき)さん、51歳。子供のころからギターが大好きで、中古ギターの購入者に無料レッスンをしながら、オリジナルの曲をつくりライブ活動をしています。

勤めていた会社が倒産し、住むところも食べるものにも困ったを助けてくれたのは、ギターとギターを通じて出あった人たち。ギターがあったから生きることができたという彼は、40年前の古くて錆びたギターに自分を重ねます。大手のお店ではできないという手間ひまをかけて、ギターをよみがえらせるのです。

ブログにアップされた、名器と言われたギターたち。ギター好きの人が県内外から集まってきます。転勤で新潟に来た人、やっと趣味を持つ時間が持てた人、プロのギタリスト、コミュニケーション下手な人、そんなギタリストにゲイリー鈴木さんは明るく話しかけ、7坪の小さな地方のお店は、ギターとギタリストたちの駆け込み寺です。

魂にとどく、大地の音色

2013年3月18日~2013年3月24日放送
西日本放送 ラジオセンター 白井美由紀

 
オカリナ奏者で、オカリナ作家の小路陽光さんは土笛(オカリナ)の音色に魅せられ、地元の土を使った「楽器」としてのオカリナを製作。香川県でミクロの金型成形技術を持つ企業、長峰製作所とコラボレーションして、そのオカリナの量産にとりくんでいます。「楽器」としてのオカリナは、他の楽器との「ピッチ」を合わせるため緻密な容積計算をして、正確に調律されています。

とてもシンプルなのに、演奏するにも製作するのも職人技を必要とするオカリナ。演奏者としての技術、陶芸の技術、さらには物理の知識まで不可欠です。

 取材を通して、土を愛し音を愛し、そしてふるさとを愛する小路さんの熱意を感じました。
現在は香川の伝統工芸「漆芸」を取り入れ、漆塗りのオカリナも作られています。

※取材ではオカリナの音色に本当に心いやされました。

つくるつなぐ6tSL101号

2013年3月11日~2013年3月17日放送
ラジオ福島 編成局放送部 山地美紗子
 

 「ポー!」勢いよく煙を吐き出すSL。現在、SLをつくっているのは国内でここだけという。鉄の塊なのに、人格を持っているかのようだ。

年1月末に福島市の協三工業株式会社でSLの完成記念式典が開かれた。現在、国内でSLを造っているのはここだけという。これまでに100台のSLを造ってきた実績がある。とはいえ、約20年ぶりの製造。製造経験のある社員はすでに退社していて、現役の社員の中に経験者はいない。そこで、OBに技術指導を依頼し、技の継承がおこなわれた。

どうしても動かなくて困り果ててOBに相談すると、一言でずばりと原因を言い当てた、なんてことも。その感覚はまさに職人技だ。今回、1年がかりで製造されたSLは「101号」。会社にとっては101代目、現在の社員にとっては1代目の新たな挑戦。

技のつながり、元気な笑顔が広がった。SLがつないだ思いを伝えたい。

雪国で聴くもうひとつの「ペチカ」

2013年3月4日~2013年3月10日放送
福井放送 FBCラジオセンター 酒田智彦

 福井県の中でも雪深い北に位置する坂井市丸岡町では、毎晩夜9時になると街中にチャイムが流れます。北原白秋作詞、今川節作曲の「ペチカ」です。御存知のとおり「ペチカ」は、山田耕筰氏の曲が大変有名ですが、丸岡町に流れる「ペチカ」はもうひとつの「ペチカ」。

 今川節は丸岡町で生まれ、生涯故郷を離れることなく260曲あまりを書き続け、25才の若さでこの世を去った作曲家です。番組では、今川節の研究を続ける平井英治さん(77才)にお話し頂きながら、SPレコードやリードオルガンの音源、そして町の人達の声とともにお送りします。

(こぼれ話)
教会の倉庫にあった戦後のリードオルガンを演奏して頂き、楽しく取材させてもらいました。また多くの町の人達にお話しを聴いたところ、今川節を知らない人もいらっしゃいましたが、時報の「ペチカ」を聴いてもらうと「知っている」と答える人も多くありました。時報の「ペチカ」が町に根付いてると感じられた瞬間でした。

 

2013年2月22日 (金)

寒さが生んだ食の知恵

2013年2月25日~2013年3月3日放送
東北放送 ラジオ局制作部 坂戸貴之

 宮城県最南端の丸森町。この町の更に南の端にある筆甫(ひっぽ)地区。
山々に囲まれた筆甫の冬はとても寒く、冷たい風が吹きます。しかし冷え込みに比べ、日中は比較的気温が上がり、暖かく感じる日も少なくありません。そんな筆甫特有の気候を生かして作られる特産品、それが「へそ大根」です。

輪切りにした大根を茹で、長さ1m弱の串に数十個刺して、屋外で1ヶ月ほど「凍みては溶けて」を繰り返します。いわゆる凍み大根ですが、完成すると串を通していた穴がへそに見えることから、へそ大根と呼ばれています。

 筆甫でへそ大根を作る庄司一郎さん曰く、美味しさのポイントは寒暖の差。大根にとって良い気候になるのを祈りながら、へそ大根作りに励みます。

 出来上がったへそ大根は綺麗な飴色に。中には甘さが詰まっています。番組を通してその味を堪能して頂ければと思います。

2013年2月19日 (火)

音の匠が伝える蓄音器の世界

2013年2月18日~2013年2月24日放送
北陸放送 ラジオ局放送部 川瀬裕子

135年前、エジソンが発明した蓄音器。
最初に作られたのは蝋管に音を刻んだものを再生する蓄音器。レコードは円盤状のものではなく円筒形でした。当時の人びとがどのような音楽に親しんでいたかを体験できるのですが、金沢市にある金沢蓄音器館です。

約600台の蓄音器と、約3万枚のSPレコードを異なる種類の蓄音器でかけています。昨年末、日本オーディオ協会から「音の匠」に選ばれた八日市典之館長が伝える蓄音器の音を聴きに多くの人がやってきます。

競輪学校~変わる風景変わらぬ信念~

2013年2月11日~2013年2月17日放送
静岡放送 ラジオ局編成制作部 牧田博匡


1億5000万円。
去年、最も多く賞金を獲得したプロ競輪選手の金額です。
華やかなプロの世界に憧れ、希望を胸に生徒たちは競輪学校の門を叩きます。しかしそこは娯楽もない、携帯電話も持てないという厳しい団体生活を強いられる場所でした。それでも「夢をつかみたい」と歯を食いしばって訓練に励んでいるのは男子も女子も同じでした。

取材を通して印象に残ったのは「競輪選手はお金だけでなく、命も背負って走っている」という教官の言葉です。
「指導」とは何か。いま教育の世界で問われています。指導者がとる行動、言葉には「信念」がなくては伝わりません。

生徒たちの懸命な姿を見た一方で、いま一度「指導」とは何か?を考えさせられました。

2013年1月28日 (月)

かけがえのない時間~百合文庫 娘が教えてくれたこと~

2013年2月4日~2013年2月10日放送
山口放送 ラジオ制作部 大谷陽子

土曜日の午後になると、子どもたちが集まってくる家があります。

山口県下関市の住宅街。岡藤秀子さん(56)は、自宅の一部を改装して、文庫として開いています。文庫では、子どもたちが好きな絵本や児童書を読んだり、借りたり、おしゃべりしたりと、のんびり過ごします。


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年前、岡藤さんは、当時小学2年生だった娘の百合子さんを事故で失いました。百合子さんの面影を求めるように、岡藤さんは百合子さんが好きだった絵本を学資保険で買いました。その数が1,000冊になったとき、「百合文庫」として開くことにしたのです。

それから14年。今も変わらず、地域の子どもたちの居場所となっている百合文庫。岡藤さんは、いま目の前にいる子どもたちとの時間を大切にしています。

2013年1月22日 (火)

さよなら シネマパラダイス

2013年1月28日~2013年2月3日放送
秋田放送 ラジオ制作部 渡邉洋祐


 秋田市にはかつて「有楽町」と呼ばれる映画の街がありました。
最大で10館あった有楽町で最後の映画館として営業してきた「シアタープレイタウン」が2012年の12月24日に閉館しました。1977年以来フイルム映画をスクリーンに映し続けてきた映写機は、時代の流れと共にその役目を終えようとしています。

 しかし、淡い光のなかで映し出されるその魅力は多くの人の心の中に残っています。長年、映写技師として働いてきた小林基之さんは、映写機の回る音を聞きながら、映画が娯楽の中心だった当時を振り返ります。

 最後の上演を終えた後、ロビーには、映画を愛する人たちの輪が広がっていました。デジタル化が進む中で、温かみのあるフイルム映画の文化にもう一度光を当てたいと思い、企画しました。映写機のカタカタという音が、もう一度小さな映画館に足を運ぶきっかけになれば幸いです。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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