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2024年9月19日 (木)

明日へのエール・ミュージックサイレン~平和を願う音

2024年9月23日~9月29日
大分放送 OBSメディア21 吉田薫

録音風物誌番組コンクール 優秀賞受賞 再放送


【番組概要】
大分県大分市中心部のまちなかでは、毎日3回、朝昼晩に大音量で音楽が流れます。8階建ての老舗デパートの屋上から聞こえてくるミュージックサイレンです。昭和29年(1954)に1号機が産声をあげて来年で70年。戦後、平和の象徴として鳴り始めたそのサウンドは、大分市中心部に暮らす人々の日常の音として長く愛されてきました。子どもの頃から聞き続けてきた自転車店の店主は、決まった時間に流れるそのミュージックサイレンを「遊びに行く合図、お昼ご飯の合図、遊びを終える夕ご飯の合
図」と懐かしみ、カフェのオーナーは「お昼の音は、ランチタイムの繁忙に向けてスイッチを入れてくれる大事な合図」と熱弁し、老舗食堂の女将は「世の中が苦しいとき、あの音楽がお互いのためのエールになった」と微笑んでくれました。当たり前のように日常の中で聞こえてくるミュージックサイレンは、人々の時計代わりになり、人生のエールにもなっています。現在、国内で稼働しているミュージックサイレンは数台となりましたが、平和を願うその音色は、今日も日常の生活に溶け込み、時を刻み、人々をやさしく包みこんでいます。

【制作意図】
大分市中心部の人々にとって、あまりにも日常的過ぎる音「ミュージックサイレン」。昭和29年に1号機が産声をあげて来年で70年を迎えます。昭和50年、2号機に受け継がれた平和を願う音は、世界が激動する中にあって、現在でも当たり前のように変わりなく、午前10時、正午、午後7時と、毎日3回流れています。その独特のサウンドは、日常の何気ない平和を無意識に感じさせてくれる貴重な存在だと感じています。現在、メーカーのメンテナンス部門がなく、故障すれば修理が難しい状況にあり
ます。この音が聞こえなくなる前に、少しでも多くの人々にミュージックサイレンの音を意識して聴いて欲しいとの思いから、大分市中心部で暮らす人々とのあたたかな関係も含めて取材しました。ミュージックサイレンが聞こえる何気ない日常の平和。そんなシーンが、全国の皆様の身近にも、形を変えて存在するのではないでしょうか。ぜひ見つけてみていただきたいとも思います。

【制作後記】
今回、朝昼晩と流れるミュージックサイレンの音色を、まちなか各所で録音しました。また、音源に近い場所から録音したいため、設置場所である老舗デパートに無理をきいていただき、日頃立ち入ることのできない屋上からも特別に録音させていただきました。海からの風を浴び、眼下の大分市街地を眺めながら、響き渡るミュージックサイレンを録音。いつもなら日常の中に溶け込む音が、目の前で存在感をあらわにした瞬間、子どもの頃に今は亡き両親とまちなかで買い物をした記憶が読みがえってきました。なんともノスタルジックな気持ちに浸れた時間でした。こういうことがあるから、取材って楽しいんですよね。

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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