草原のある風景 ~音で綴る秋吉台の四季~
2015年2月23日~2015年3月1日放送
山口放送 ラジオ制作部 大谷陽子
【番組概要】
日本最大のカルスト台地、秋吉台。毎年2月頃、およそ1,500ヘクタールの草原は一斉に火に覆われます。山焼きによって、秋吉台は、長い間草原が保たれてきました。その台地には、四季折々に、千種類以上の花が咲きます。日本の各地から草原が姿を消す中、絶滅が危惧されているものも少なくありません。山口市の中沢妙子さん(75)は、年間300日近く秋吉台に通って16年、花が開花した日にちを記録し、写真に収めています。個性ある花の生き様に魅せられました。「自分は宇宙の長い歴史の中で、ほんの瞬きの間しか生きていないけれど、その間だけでも、守るべきものは守っていきたい。」中沢さんは、秋吉台の花を通じて自然を慈しみます。長い年月をかけて作り上げられ、人の手によって守られてきた草原。秋吉台の草原が作る四季の風景をお届けします。
【制作意図】
かつて日本の各地に見られた草原。生活環境の変化に伴い、その姿は減ってきました。明治時代には国土の約3割以上を占めていましたが、現在では数%に減少したとも言われます。秋吉台の草原は、長い間、地域の人たちの手で守られてきました。自然の恵みを受け、自然を守るためです。多様な生物が暮らす豊かな環境と、人が草原と共に生きてきた文化を持つ秋吉台の草原から、自然との付き合い方を考えたいと制作しました。
【制作後記】
山口県民にとって、全国に誇れる観光地である秋吉台。ですが、展望台から広大なカルスト台地を見て、カルストロードを車で走って、観光は終了~…という方も多いようです。でも、一歩、草原に足を踏み入れてみると…見たことの無い花が目に入ります。フラワーショップで売られているお花のような艶やかさは無くとも、万葉集に詠まれているような古来の日本各地で見られた花が、自然の姿で咲いているのです。
そんな草原の花に会ってみたい!という方は、中沢妙子さんの写真と記録で綴られた本『秋吉台で出会った花』を片手に草原へ踏み入ってみてください!心から癒されること、間違いなし!です。
コメント