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2013年10月

2013年10月31日 (木)

よう お帰りなさいました

2013年10月28日~11月3日放送
山口放送 ラジオ制作部 大谷陽子

【番組概要】

本州の西の端、山口県。日本海を臨む長門市仙崎の港は、終戦後、在外邦人の引揚げ港となりました。終戦の翌月から1年間で41万人の引揚げ者が上陸(博多、佐世保、舞鶴などに次ぐ全国5番目の引揚げ者数)、仙崎の町は一丸となって引揚げ者の援護をしました。当時21歳だった(なか)()貞女(さだめ)さんは、本土の地に降り立った引揚げ者を温かいお茶で迎え、宿も提供しました。それから68年。89歳になった中谷さんは当時を偲んで訪れる人に現地を案内し、依頼があれば講演にも出向きます。引揚げ港仙崎の歴史と思いやりの風土を伝え残したいという中谷さんの思いを綴ります。

【制作意図】
長門市仙崎は、古くは鯨漁で賑わった港町です。童謡詩人・金子みすゞのふるさとでもあります。終戦後、人口8,000人の町は、およそ1年の間に41万人もの人を迎える引揚げ港としての役目を果たしました。そこに生きた人々の歴史と経験が風土や気風として受け継がれていることを財産として伝えていきたいと制作しました。

【制作後記】
「よう お帰りなさいました」とは、「本当によく帰られましたね」という相手への気持ちを込めた山口弁の表現です。中谷さんの会話には、相手へ心を寄せる山口弁が度々使われます。放送の中でも出てくる「のんた」も代表的な山口弁で、「のー、あんた」と親愛の気持ちを込めて語りかける言葉です。温もりの響きを持つのは、相手に思いを馳せる思いやりの心があるからこそと、中谷さんの姿を見て学びました。

 

2013年10月10日 (木)

存続をかけてノコッタ ノコッタ! 清水西久保の相撲甚句

2013年10月21日~10月27日放送
静岡放送 ラジオ局編成制作部 山中 貴弘

【番組概要】
鈴虫が鳴くころ、静岡市清水区西久保にある鹿島神社(かしまじんじゃ)では、「相撲甚句」と呼ばれる民謡が響き渡ります。 西久保地区では明治の頃から、秋の収穫に感謝するため、毎年10月に行われるお祭りで相撲甚句が奉納されています。しかし、清水西久保の相撲甚句も、年々後継者が減っています。その原因は、今の時代には受け入れにくい歌詞や、化粧まわし姿で披露しなければならないことです。今では、大半が還暦を過ぎてしまった相撲甚句保存会のメンバーが、一人でも多くの子どもたちに受け継いでもらいたいという想いと、相撲甚句を経験した子どもたちの声を交えて紹介します。

【制作意図】
清水西久保の相撲甚句が披露される鹿島神社のお祭りも、最近では、くじ引きや配布ものなど、イベントを目的として来る参加者も多く、相撲甚句の存在が薄れていました。後継者も減る中、明治から続く地元の風物詩を少しでも多くの人に忘れないでいてほしいと願い作品にしました。

【制作後記】
かわいい化粧まわし姿で、恥ずかしそうに相撲甚句を披露する子どもが印象的でした。西久保地区の相撲甚句の歌は10月しか披露されません。そこで、「秋」らしさを出すために、相撲甚句の歌やインタビューなど、様々な場面で、鈴虫の音色が入るよう録音しました。秋の風物詩「清水西久保の相撲甚句」とともに、秋を感じていただければと思います。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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