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2006年11月

2006年11月27日 (月)

鬼ヶ島のくらし

西日本放送 ラジオセンター 白井 美由紀

香川県高松市。沖合い約4キロ。穏やかな瀬戸の海に浮かぶ小さな島。「鬼ヶ島」とも呼ばれる女木島。

高松港からフェリーで20分のこの島に着くと、まず出迎えてくれるのが「オーテ」と呼ばれる特徴的な石垣。女木島の家はこの「オーテ」に屋根まですっぽりと覆われています。

これは女木島の、しかも港周辺にだけ吹くめずらしい季節風「オトシ」から家を守るもの。島の生活に、時として大きな打撃を与えますが、島の人々は明るく元気に暮らしています。

高岸さんは、この「オトシ」の記録をはじめ島の歴史に関する実に様々な、写真や資料を取材時に見せてくれました。

昔の印鑑証明、50年前の写真…、中にはこの島への嫁入りをテーマにしたと言われる「瀬戸の花嫁」を歌った小柳ルミ子さんと、この歌のモデルになったご家族との写真もありました。

2006年11月13日 (月)

里帰りラッパが行く

秋田放送 ラジオ局 ラジオ放送部 丹内 モモコ

戦後 サイパンから旧日本軍の「ラッパ」が還って来た。秋田県由利本荘市に住む佐々木三知夫さんは、この「ラッパ」をもらい受け、戦友会などの会合に顔を出す。

リクエストに応じ、ラッパを吹き、想い出話に加わる。また、戦争を知らない子どもたちにはラッパの話しとともに戦争の話しを伝える。

この「ラッパ」のことを聞いて佐々木さん宅を訪ねてくる人もいる。木内兼治さんはサイパンで戦友を失っている。ラッパの音を聞き、「木村、中村ー」と戦友の名をつぶやき、涙にくれた。

遠い戦場からの里帰りラッパは、ふるさとの人々に「平和」を伝えて行くことと思う。

2006年11月 6日 (月)

塩の産声が聞える~我が子は戸田塩~

静岡放送 ラジオ局 ラジオ部 渡辺 玲子

沼田市戸田の「NPO 戸田塩の会」は1500年ほど前、戸田で作られた塩が朝廷に献上されていたという歴史を掘り起こし、塩作りを地域文化として伝承しています。

戸田塩は、海水を駿河湾沖1キロから汲み上げ、薪を燃料に大きな釜で煮詰めるというシンプルな製法で出来上がります。

会を発足して10年。研究に研究を重ね、今の塩の味にたどり着いたと理事長の菰田智恵さんは語ります。そのお陰か、全国から注文が舞い込み、買い物客も何度となく足を運ぶようになりました。

そのおいしさに隠された秘密は、会のメンバーの手間暇を惜しまず塩と向き合う姿勢と、とにかく塩作りが楽しいという思いがあるからだろうと感じました。

今回はその塩作りの様子をご紹介します。子育てを卒業した50歳代から70歳代のお母さんたちが、塩を我が子のように慈しんで作り上げる姿を思い浮かべてみて下さい。

取材中、戸田塩を使った3000円もする食パンをおやつにいただきました。素材にこだわるパン屋さんが選び抜いたのが戸田塩です。皆で分け合い「おいしいねー」と笑顔がこぼれました。

そんな人間の笑顔に迎えられたとき、塩も同じように生まれてきた喜びを感じているのではないでしょうか。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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