2023年12月27日 (水)

スティールパン~ドラム缶で奏でるメロディー~

2023年12月25日~2023年12月31日放送 
ラジオ関西 コンテンツ・ニュース部 春名優輝

【番組概要】
1995年1月17日に起きた、阪神・淡路大震災の被災地・兵庫県神戸市。大きな火災がいくつも発生し、まちの姿は大きく変わってしまった「長田区」を盛り上げようと、震災から7年目の春に活動を始めたスティールパンバンド「ファンタスティックス」。スティールパンとは、カリブ海に浮かぶトリニダード・トバゴ発祥の、ドラム缶から作られた打楽器。日本ではまだまだマイナーな存在のスティールパン。バンドのメンバーはなぜ、どのような思いで演奏しているのか、取材しました。

【制作意図】
実は、私がスティールパンの演奏を初めて聞いたのは、ほんの2か月前のこと。その透き通っていて力強い、独特な音色を聞いて元気をもらい、とりこになりました。奏者とスティールパンとの出会いや、演奏にかける思いを聞くのはもちろんのこと、「自分の手で叩いてみたい、その音を録ってみたい」と思い増した。演奏を聞いたことのない人に、その雰囲気が少しでも伝われば、と制作しました。

【制作後記】
「マイク一本で録る」という、ラジオの原点を再確認しようと制作にとりかかり、何度もバンドの練習にお邪魔しました。金属製の打楽器を大人数で演奏するため、室内で音が想像以上に広がり、その収録には多くの工夫が必要でした。嫌な顔一つせず、楽しみながら収録に付き合ってくれたメンバーの皆さんには感謝しています。私が生で聞いたときに感じた、不思議とエネルギーがわいてくる感覚が伝わればうれしいです。

2023年12月 7日 (木)

ゴトゴトやりゆうで ~山を下りた映画館~

2023年12月18日~2023年12月24日放送 
高知放送 ラジオ戦略部 手島伸樹

【番組概要】
2014年に高知市北部の山村、土佐山で映画上映会を始めた前田誠一さん(55)交通の便の悪さから、もっと気軽に映画を見てもらいたいと、自らが山を下りて、映画上映会を続けることに。施設を借りての上映会は設営から撤収まで前田さんが担当。大変ながらも、自分が選んだ映画(ドキュメンタリー)を多くの人に届けたくて活動を続けています。番組では、もはや前田ファンともいえるお客さんの声や、優しく支える家族の声などを交え、映画上映会(ゴトゴトシネマ)の様子をお届けします。

【制作意図】
前田さんの映画上映会には「ゴトゴトシネマ」という名前が付いています。ゴトゴトとは、土佐弁で「ゆっくり、焦らずに」という意味の方言です。また前田さんが住む土佐山地区には「ゴトゴト石」という昔から伝わる奇岩があります。ゆっくり焦らずに、地域の事を大事にしながら映画会を上映する前田誠一さんの人となりが少しでも伝わればと制作しました。

【制作後記】
ディレクター自身もゴトゴトシネマの映画上映会には時々、お邪魔していましたが、今回、取材を通して、改めて前田さんの映画に対する情熱、そして「ゆっくり、焦らずに」ごとごとと好きなことをやり続ける事の大切さ。そしてそうした活動は必ず、相手(客)にも伝わり、そこがかけがえのない場所になっていく過程が見えたような気がしました。

レトロ駅舎の珈琲店 香りと音に包まれる店主の一日

2023年12月11日~2023年12月17日放送 
ラジオ福島 放送部 山地美紗子

【番組概要】
福島市の福島駅と飯坂温泉駅を結ぶ福島交通飯坂線(飯坂電車)の曽根田(そねだ)駅は80年前の開業当時の姿を復元させたレトロな駅舎です。その駅舎の中に、珈琲店が入っています。焙煎する日は、朝、駅のホームに珈琲の香りが漂い、電車のドアが開いた瞬間、ほのかな香りに包まれます。昼前、開店すると、じっくり丁寧にハンドドリップで珈琲をいれる店主。客に美味しい珈琲と居心地のよい空間を提供します。店主の伏見俊哉さんは、もともとは学校の教員。珈琲店を開く夢を実現させました。教え子が来店して、感謝の思いを伝えていくことも。週末は、夜も営業しています。夜、お店を閉めた後、伏見さんがほっとする、「よい映画を一本観終えた」ような瞬間とは・・・。

【制作意図】
曽根田駅は、飯坂線のホームがあるほかに、そのすぐ近くを、東北本線や奥羽本線、阿武隈急行線、東北新幹線、山形新幹線が通ります。貨物列車も頻繁に通り過ぎていきます。お店で珈琲を飲んでいると、列車の音の違いに気づきます。人を乗せて軽やかに走る列車と、コンテナをたくさん引っ張り重そうに走る列車。どこに向かうのかなと思いをはせながら、珈琲を飲む時間。落ち着きます。心地よい居場所を提供している店主の伏見さんの朝・昼・晩を、珈琲の音と列車の音で表現しようとしました。そして、伏見さんが大切にしていることを伝えたい、と考えました。

【制作後記】
珈琲を飲みにいった時に、心地よい音がたくさんある場所だと感じ、珈琲にまつわる音と、列車の音の構成で番組にしたいと思いました。珈琲の音は魅力的で想像が広がります。もっと珈琲の音をクローズアップしても良かったかもしれません。また、収録した後、思いのほか、近くの踏切の音が大きく入っていることが気にかかり、自分の耳に聴こえている音と録音との違い、音の世界の難しさを痛感しました。


刹那のひと振りに掛ける ~佐渡の竹刀職人を訪ねて~

2023年12月4日~2023年12月10日放送 
新潟放送 株式会社BSNウェーブ 吉田竜也

【番組概要】
「竹刀職人」は、かつて日本国内におよそ200人いましたが、インドネシアをはじめとする海外での大量生産の台頭により、現在ではわずか10数人といわれています。新潟県佐渡市でも、100年以上受け継がれてきた竹刀職人の灯が消えつつあります。この伝統を後世に残したいと、七年前に佐渡市役所を退職し、一念発起して竹刀職人の道を歩み始めたのが、今回の主人公「佐藤竹刀工房」の佐藤友典さん(47)です。わずか10数人と言われる竹刀職人の中で、「竹の切り出し作業」からを一貫して行い、1年の歳月を掛けて竹刀を作り出すのは、佐藤さんを含めて数人です。剣道人口そのものが年々減少する中で、「剣道」という普遍的な武道としての価値を信じ、剣士の一瞬の一振りに魂を掛ける「竹刀職人の想い」を届けます。

【制作意図】
『新潟県佐渡市の伝統を守ること』、そして『近い将来、もしかしたら消えてしまうかもしれない音』という2点をコンセプトに制作をしました。「佐藤竹刀工房」の佐藤友典さんと、その竹刀を愛用し、剣道において「未知の領域」とされる七段の中島郁子さんは、かつて私が担当するラジオ番組への出演でご縁があり、今回ご協力をいただきました。ナレーションを担当した大塩綾子(BSN新潟放送アナウンサー)も剣道三段の実力で、佐藤竹刀工房の竹刀を愛用している一人です。

【制作後記】
今回、1年を掛けてインタビューや取材を重ねる中で、佐藤竹刀工房の佐藤友典さんに情が沸いてしまい、最終的に「『人』にフォーカスをして番組を作るべきか、『音』にフォーカスして作るべきか」のバランスを自問自答しながら制作させていただきました。竹藪に入り竹を切り出す音から、工房で黙々と竹と向き合いながら20以上の工程を経る音に至るまで、竹刀職人の周りで厳かに奏でられる様々な音を、ぜひ耳を澄ましてお聴ききください。

港町に響く音頭~細島・口説きの守り人たち~

2023年11月27日~2023年12月3日放送 
宮崎放送 ラジオ部 宇田津 幸恵

【番組概要】
古くから漁業や交易で栄えてきた宮崎県日向市細島。この港町では、お盆の時期、初盆を迎えた家で音頭取りたちが音頭を取り、それに合わせて近所の人々が集まり踊って、明るく楽しくご先祖様や故人を迎えるという風習があります。番組では、交易文化の名残りとしてとどまり、細島の人々を家族のように繋ぐこの音頭の口説きについて、口説き手で師匠と弟子の関係である俵兵蔵さんと岸本謙二さんの物語とともに紹介します。

【制作意図】
今回の物語の舞台である細島は、父の故郷です。子どもの頃からこの音頭、口説きのメロディには耳馴染みがあり、いつか作品に残せたらいいなと思っていました。この音から記憶を辿ると、そこには細島の人々が家族のように集い笑って踊っている姿があり、その情景を思い浮かべると、楽しさだけではない、日本のお盆特有の懐かしさや切なさも感じます。日本各地にあるそれぞれのお盆の姿。その一つとして、細島のお盆の姿を口説き手の物語を通して感じていただけたら、そして、聴いた方が少しでもそれぞれの故郷へ思いを馳せる機会になったら嬉しいなという思いで制作しました。

【制作後記】
実は今回、師匠の俵さんに前向きな心境の変化があり、取材後に「来年はケンボ(岸本さん)と音頭を取るからあんたも踊りにきない!」と声をかけてくださいました。来夏、師弟の二人が一緒に音頭を取る姿を見られるのが、そしてそれに合わせて踊るのが今からとても楽しみです。録音風物誌に携わらせていただくと、何をとってもそこには物語が存在するということに改めて気づかされます。日々精進して、作品作りの筋力を鍛えていきたいです。




那覇大綱挽まつり

2023年11月20日~2023年11月26日放送 
琉球放送 報道制作部 銘苅 強


【番組概要】
新型コロナウイルスの流行を乗り越えて、およそ4年ぶりの通常開催となった「那覇大綱挽まつり」1450年ごろより続く伝統は、2023年になったいまも”まつり”として続いています。世界ギネス記録にも登録されている大綱は、長さおよそ200メートル、重さおよそ40トン。男女に見立て2本に分けた綱を、人力で繋ぐことでまつりが始まります。綱挽参加者20,000人の掛け声と爆竹の音が印象的です。まつり自体への来場参加者数は約27万5,000人。多くの人が待ちわびていた沖縄県那覇市の伝統的なまつりを「地元の祭り」視点からお届けします。

【制作意図】
およそ4年ぶりの通常開催となった那覇大綱挽まつり。2020年以降、新型コロナウイルスの蔓延により開催中止となっていましたがようやく「いつものまつり」として沖縄県那覇市に帰ってきました。昨年は規模を縮小して実施しようとするも、まるでまつりの神が時期尚早と諭すかの様に開始前に綱がほどけるトラブルが発生してしまい、開催できずにいました。県民が臆することなく盛り上がることができた今年の大綱挽まつり。新型コロナウィルスによって自身が慣れ親しむ季節ごとの風物詩までもが
少なくなっていたことを改めて実感しました。しかしだからこそ、それが戻ってきた喜びを、人々が楽しむ様子を存分に届けられたらと思い制作しました。

【制作後記】
「音がある祭り」ということもあり”那覇大綱挽まつり”を題材にしました。もう少し細かく会場アナウンスを録り、番組内で使用することでナレーションで説明するだけでなく、より臨場感のある
まつり独特の雰囲気が演出できたのではと感じています。

 

みんなでポクポク~音楽のお寺・龍泉寺

2023年11月13日~2023年11月19日放送 
和歌山放送 報道制作部 寺門秀介


【番組概要】
和歌山県南部・田辺市にある浄土宗の古刹「龍泉寺」では、毎年春と秋の彼岸に檀家や市民を本堂に集めてユニークなコンサートを開いている。参加者が楽器の演奏に合わせて小さな木魚を一緒にポクポクと叩きながら楽しめる趣向が好評を博している。ブラジル・サンパウロ出身で日系三世の住職・田中実マルコスさんと、妻で龍泉寺の娘・素子さんが企画したもので、回を重ねるごとに参加者の輪が広がるとともに、妻・素子さんの母親までオカリナの演奏に加わるなど、お寺総出の一大イベントとなっている。住職夫妻がこのコンサートに込めた思いを音楽と歌で綴る。

【制作意図】
紛争や事件、虐待、経済危機など殺伐とした世情のなか、音楽を一緒に楽しめる寺として心の拠り所にしようと工夫を凝らす住職夫妻。葬儀や法事など「死」を連想されてしまいがちな寺だが、住職夫妻は仏具の木魚でさえも気分を高揚させるアイテムとして活用することで、寺を「生」の象徴に昇華させようと強く願っている。寺の重要な役割をコンサートに込めて表現しようと励む和歌山県南部の地方都市の動きを紹介する。

【制作後記】
住職の田中実マルコスさんが語る「生きる希望の湧く癒やしのお寺にしたい」という言葉が胸に刺さった。マルコスさんの故郷・ブラジルの教会でも歌は欠かせない重要なもので、両者に共通したスピリットを連想した。音楽を聴きに、歌いに、時には演奏しに集まる年2回の寺参りは和歌山県田辺市民の心と体を動かす原動力になっていると感じた。お寺の多様性もまた、人の心や命を救う重要な要素なのだろう。


多年を保つ保多織~江戸時代のお殿様からのGift~

2023年11月6日~2023年11月12日放送 
西日本放送 ラジオセンター 白井美由紀


【番組概要】
高松市にある岩部保多織本舗。ここで織られるのが、保多織(ぼたおり)。その歴史は古く、江戸時代から330年以上も続いている織物です。高松藩初代城主松平頼重公が京都の織りもの師を呼び寄せ、朝夕に風がピタッと止まってしまい蒸し暑いこの高松の環境でも快適に過ごすことができるような衣服のための織物を作らせたのが、保多織のはじまりと言われています。その保多織を唯一受け継いでいた岩部さんを取材しました。
保多織は、平織りの変形で、肌ざわりの良さと通気性や吸水性にすぐれた織物です。独特な凹凸があり、このすき間が空気を含むため、夏はさらっとした肌ざわりで、冬は逆に肌に触れたときの冷たさをあまり感じないという特徴があります。江戸時代から発明されていた機能性衣服です。さらに、「多年を保つ」といわれるように大変丈夫でもあります。保多織の命名も頼重公だったといわれています。そんな歴史ある織物を実際に手織り機で織りながら話をしてくださいました。
歴史があるから残すのではなく、良いものだから自然と残っていく・・・そんな保多織を続けていきたいと岩部さんはおっしゃいます。

【制作意図】
各界で伝統の後継者不足が叫ばれる中、この保多織は、若い世代からも伝統をつないでいこうという声があります。その理由は、やはり「着心地の良さ」。良いものだからこそ、これまでこんな長い歴史をくぐりぬけてきた保多織です。縦糸が歴史だとしたら、横糸に人々の知恵や生活、寄り添う優しさが織りなされています。
もともとは幕府への献上品にも使用される高級品ですが、今は、私たちの身近な場所で、衣服以外にも、シーツやハンカチなど、その吸水性などの機能にも注目を集めています。決して華やかで目を引くものではないけれど、こんなに長い間、こんなすごい機能を持った布が織り続けられていたこと、そしてその存在をたくさんに人に知ってもらいたい。その肌で触れてもらいたい。と思い制作しました。

【制作後記】
お殿様の衣服として織られていた技法ですが、最近では、綿素材のものが多く保多織のハンカチや、てぬぐい、ふきんなどどしても、販売されています。私も使っています。こぶりなクッションカバーを最近買いました。とにかく気持ちよくて触れていたいので、家では、よく、そのクッションを抱いています。冬はあたたかく、夏は、ひんやりして気持ちいいですよ。

明日へのエール・ミュージックサイレン~平和を願う音

2023年10月30日~2023年11月5日放送 
大分放送 OBSメディア21 吉田薫


【番組概要】
大分県大分市中心部のまちなかでは、毎日3回、朝昼晩に大音量で音楽が流れます。8階建ての老舗デパートの屋上から聞こえてくるミュージックサイレンです。昭和29年(1954)に1号機が産声をあげて来年で70年。戦後、平和の象徴として鳴り始めたそのサウンドは、大分市中心部に暮らす人々の日常の音として長く愛されてきました。子どもの頃から聞き続けてきた自転車店の店主は、決まった時間に流れるそのミュージックサイレンを「遊びに行く合図、お昼ご飯の合図、遊びを終える夕ご飯の合図」と懐かしみ、カフェのオーナーは「お昼の音は、ランチタイムの繁忙に向けてスイッチを入れてくれる大事な合図」と熱弁し、老舗食堂の女将は「世の中が苦しいとき、あの音楽がお互いのためのエールになった」と微笑んでくれました。当たり前のように日常の中で聞こえてくるミュージックサイレンは、人々の時計代わりになり、人生のエールにもなっています。現在、国内で稼働しているミュージックサイレンは数台となりましたが、平和を願うその音色は、今日も日常の生活に溶け込み、時を刻み、人々をやさしく包みこんでいます。

【制作意図】
大分市中心部の人々にとって、あまりにも日常的過ぎる音「ミュージックサイレン」。昭和29年に1号機が産声をあげて来年で70年を迎えます。昭和50年、2号機に受け継がれた平和を願う音は、世界が激動する中にあって、現在でも当たり前のように変わりなく、午前10時、正午、午後7時と、毎日3回流れています。その独特のサウンドは、日常の何気ない平和を無意識に感じさせてくれる貴重な存在だと感じています。現在、メーカーのメンテナンス部門がなく、故障すれば修理が難しい状況にあります。この音が聞こえなくなる前に、少しでも多くの人々にミュージックサイレンの音を意識して聴いて欲しいとの思いから、大分市中心部で暮らす人々とのあたたかな関係も含めて取材しました。ミュージックサイレンが聞こえる何気ない日常の平和。そんなシーンが、全国の皆様の身近にも、形を変えて存在するのではないでしょうか。ぜひ見つけてみていただきたいとも思います。

【制作後記】
今回、朝昼晩と流れるミュージックサイレンの音色を、まちなか各所で録音しました。また、音源に近い場所から録音したいため、設置場所である老舗デパートに無理をきいていただき、日頃立ち入ることのできない屋上からも特別に録音させていただきました。海からの風を浴び、眼下の大分市街地を眺めながら、響き渡るミュージックサイレンを録音。いつもなら日常の中に溶け込む音が、目の前で存在感をあらわにした瞬間、子どもの頃に今は亡き両親とまちなかで買い物をした記憶が読みがえってきました。なんともノスタルジックな気持ちに浸れた時間でした。こういうことがあるから、取材って楽しいんですよね。



200円の人情弁当

2023年10月23日~2023年10月29日放送 
山口放送 ラジオ制作部 寺岡岳男


【番組概要】
山口県下松市の旗岡団地にある個人経営のスーパー「スーパーマルエス旗岡」
矢野忠治社長(72)は、200円のお弁当を作っています。原価180円、人件費は度外視です。
団地の人口も減少し高齢化も進んでいます。遠くの大規模スーパーに行く団地の人も多く、スーパーの売り上げも下がる一方です。しかし矢野社長は200円にこだわり、年金暮らしの人たちのために値上げをせず頑張っています。そんな矢野社長の、お弁当を通じて「団地の人たちのために」という気持ちを取材しました。

【制作意図】
「200円のお弁当」と、価格に注目されて過去に地元メディアが取材に訪れたこともあるスーパーマルエス旗岡ですが、最近SNSで矢野社長が「もう限界です」と発信されたことから、最近の原材料費の値上げがニュースでも多く取り上げられるなか、スーパーの経営が厳しいことは容易に想像できました。にもかかわらず値上げをせずに、あくまで200円にこだわる社長の意図は何か?と気になったことから、取材を行いました。

【制作後記】
何気なく矢野社長に「このスーパーが無くなったら困る人も多いでしょうから、50円程度は値上げされたらいかがですか?」と問いかけたところ「年金暮らしの人にとっては、50円でも毎日のことですからね」と返され、自分がまだ経験したことのない、年金生活でのやり繰りの厳しさに気づかされました。「200円のお弁当」という、価格のみに注目が行きがちですが、取材を進めるうちに「団地の住民の高齢化」「年金暮らし世帯の家計の厳しさ」「一人暮らし世帯の安否確認」「免許返納後の買い物難民」など、取材開始前には思い至らなかった、社会問題の数々が、団地の中のスーパーの状況に凝縮されていることに気づかされました。その問題の数々を、気負わず自分が出来ることを淡々と実施していく矢野社長の声から感じていただければと思います。

 

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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