時の流れと南部せんべい
2025年10月20日~2025年10月26日
青森放送 制作局ラジオ制作部 大野和
【番組概要】
県外で暮らす弟と、地元青森で暮らす姉。姉は最近、地元で愛されている焼き菓子、「南部せんべい」に関心を持ち、青森県の太平洋側にあるおいらせ町(ちょう)で、明治時代からせんべいを作り続けている「川越せんべい店」を訪れます。5代目の店主、川越将弘さんから南部せんべいの製法や歴史を学び、焼きたてのせんべいを味わいます。長い伝統を守りながら地元でせんべい作りを続けていきたい、と語る店主の信念に心を動かされた姉は、弟にその魅力を伝えたいと思い、お土産にせんべいを送ります。弟は届いたせんべいを口にし、懐かしさとともに地元の味の良さを改めて感じます。一方の姉も、どこか実感の祖母に似てきたことに気づかされます。
【制作意図】
いろいろな美味しいものや、見た目も良くお洒落なお菓子が増えていく中で、青森県の県南地域で長い間愛されている焼き菓子、「南部せんべい」。小麦でできたせんべいには、軽やかな食感と素朴な味わい、そして長い歴史があります。かつて飢饉をきっかけに生まれた命をつなぐ食べ物「天保せんべい」が名前を変え、身近な焼き菓子として役割を変えても、人と人とをつなぐ、思い出の食べ物であることは変わりません。この番組を通して、自分の故郷にある思い出の味や家族や地域とのつながりなど、温かい記憶を思い出すきっかけにしてほしいという意図で制作しました。
【制作後記】
今回番組でご紹介した「川越せんべい店」は、実は去年から取材させていただいたお店でした。取材中の11月ごろに火災があったのですが、同じ場所で無事に営業を再開し、今年あらためてご縁を頂き、お話を聞くことができました。取材当時は9月半ばとは思えないほど暑く、石窯の熱気も合わせると気温が40度近くなる中で、大きな石窯でリズム良く正確にせんべいを焼く職人技には圧倒されました。私にも弟がいて、番組制作後に川越せんべい店で購入したせんべいを何種類か弟に送りました。今回番組内では紹介できなかったのですが、バターを使った南部せんべいが特に美味しかったそうです。子どものころよく食べたせんべいが、今になって家族や地元の人と話すきっかけになることの嬉しさを、番組制作を通して改めて感じました。








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