奄美日本復帰 72年の時を経て
2025年7月28日~2025年8月3日
南日本放送 ラジオセンター音声メディア部 豊平有香
【番組概要】
多くの離島がある鹿児島県は、南北600Kmに及ぶ「日本一長い県」。
その最南端にある、奄美大島、徳之島などの奄美群島は、昭和20年の終戦後から沖縄とともにアメリカ軍の統治下にありました。島民は食糧難に苦しみ、子どもたちは十分な学習ができないなど、大変な生活を強いられます。そのような中、昭和28年12月25日、沖縄より先に奄美群島が日本に返還されるというニュースが。ラジオ南日本(南日本放送の前身)の局員2人が、歴史的な日をラジオで伝えたいと『密航』して奄美大島に行き、全国中継を成功させました。
この実話をもとに、鹿児島県立伊集院高校の演劇部が、当時の奄美を描いた創作劇を披露します。しかし、同じ鹿児島県でも離島の奄美大島に行ったことがない部員がほとんど。
どのような思いで72年前の奄美の人々と向き合ったのでしょうか。
当時の音源と、令和の高校生たちの声を重ねて届けます。
【制作意図】
南日本放送の資料室に保管されていた、72年前の全国中継の音源。
当時ラジオ南日本は開局したばかり。「奄美日本復帰」というビッグニュースを「ローカル局である自分たちが伝えるんだ」という大先輩たちの熱い思いを感じました。
このエピソードをラジオドラマで再現したところ、県立伊集院高校から創作劇として奄美日本復帰を描きたいという連絡が入ります。同じ鹿児島県内の出来事ではありますが、本土に住む高校生が離島の奄美のことをどのように感じながら演じるのか、大変興味がわき、取材を進めました。
【制作後記】
劇を初めて見たとき、本当に令和を生きる本土の高校生なの!?と驚きました。ステージでは方言が飛び交い、島唄を歌い、配給を待ち、市民運動で声をあげ…。高校生が真正面から奄美の歴史と向き合う姿を見て、私も何とかしてラジオで伝えたいと背中を押されました。
この劇を見に来られた奄美にゆかりのある方々は、「当時を思い出す」「両親から聞いた話と同じだ」と涙を流し、奄美で公演してほしい、という声も上がっています。復帰を経験した方が少なくなる中、劇を通して、鹿児島の大切な歴史を語り継いでいってほしいと心から願っています。
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