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2025年5月

2025年5月26日 (月)

松本 井戸のある風景

2025年5月26日~2025年6月1日
信越放送 ラジオ局編成制作部 川﨑 日南子

【番組概要】
国宝松本城を擁する城下町松本市には、美ヶ原高原などの豊かな自然が生んだ清らかな水がいたるところから湧き出し、市民や観光客に潤いと安らぎの場を提供しています。
湧き水をくむ人々、湧き水で珈琲を淹れる喫茶店の店主、そして、伝統工芸の藍の型染めに使う職人のインタビューをお送りします。

【制作意図】
水は水道の蛇口をひねれば出るのが当たり前の時代、松本市にはそこかしこに美味しく飲用できるように整備されている井戸があります。
源智の井戸、手押しポンプ式の蔵の井戸、なわて若返りの水、松本神社前井戸、など80か所以上。
その自然の恵みは今もなお人々を潤しているということを知っていただきたいと思い、井戸水のある風景が見えるように実際の水の音をふんだんに使い制作しました。

【制作後記】
そもそも水道水、ペットボトルの水以外飲んだことがない私にとっては、いたるところから湧き出す水が飲めることに衝撃を受けました。
飲んでみるとその口当たりは柔らかく、甘味がありとても美味しかったです。驚くことに回った全ての井戸ごとに味が違っているのです。しかも無料で飲み放題!汲み放題!
地元の小学校では、教育の一環として井戸水を取り上げています。
しかし、江戸時代から続くこの井戸も、開発によって成分が変わったり、枯れてしまったものもあるようです。今回は、そういったお話まで取り上げることができなかったため、今後の状況も取材していきたいです。

 

2025年5月20日 (火)

鉄が奏でる長田の風景

2025年5月19日~2025年5月25日
ラジオ関西 フリー ケーちゃん

【番組概要】
兵庫県神戸市長田区には身長18m、重さ50tの巨大な「鉄人28号モニュメント」が建っている。阪神淡路大震災の復興のシンボルとして2009年に建設され、街のシンボルとして老若男女に愛されている。漫画を読んだことのない子ども達も皆「鉄人28号」の主題歌を元気に歌う。大きな鉄人28号モニュメントを見上げてボディを叩くとボンボン♪と鉄の音が響く。鉄の音が響く…と言えば、長田で生まれた下町グルメ!「そばめし」を鉄板で作る時の音!鉄板の上で華麗なコテさばきを見せてくれるのは、歴史のある市場「丸五市場」で営業する「そば焼き いりちゃん」の入口茂子さん。「焼きそば」と「そば焼き」の違いを尋ねると「昔からそう言うてるからな~」と言いながらもいりちゃんの見解を「知らんけど~」と教えてくれた。この地域で鉄の音が響く…と言えば、もう一つ。ドラム缶で出来た楽器「スティールパン」の音色。震災後、全国から届いた支援に何らかの形で恩返しを…と地元商店主が集まり、まだまだ珍しい楽器「スティールパン」の音色に「ありがとう」を込めて演奏したのが始まり。今やスティールパンだけのオーケストラバンド「Fantastics」が生まれ、県内外様々な場所で演奏活動を行っている。鉄が奏でる音を追いかけると不思議と長田のまちの魅力が見えてくる。

【制作意図】
元気な下町、神戸市長田区。「鉄人28号モニュメント」「そばめし発祥の地」「スティールパンの活動が盛ん」等、地域が持つ多様な魅力を鉄の音をキーワードに繋げてみることにした。絵が見えないラジオというメディアだからこそ、「鉄」という同じ素材なのに全く異なる音が聴こえてくると想像力がふくらみ長田の風景が届くのではないかと考え制作した。

【制作後記】
幼保連携型認定こども園 近田幼稚園の園長先生に伺うと、幼稚園の年長さんになると様々なステージで「鉄人28号」の主題歌を演奏したり歌ったりするが、練習を始めるまでにお兄さんお姉さんが歌っているのをいつも聞いているので歌詞を見なくてもすぐに歌う事が出来るそうです。2009年に鉄人28号モニュメントが建設された時は、団塊の世代の方々の懐かしいヒーローのイメージでしたが、現在は長田のヒーローとして多くの人に愛されている事がわかる素敵なエピソードだと思いました。

たしかに美味い!ンモ~いっぱい!トロントロン牛乳

2025年5月12日~2025年5月18日
宮崎放送 ラジオ局ラジオ部 大石怜香

【番組概要】
宮崎県の中部に位置する川南町。口蹄疫も乗り越えた畜産の町です。また、畜産だけでなく酪農も盛んです。地元の乳業メーカー「アリマン乳業」では、川南町産の生乳だけを使った「トロントロン牛乳」を生産しています。美味しいと評判の牛乳。アリマン乳業と地元の酪農家が手を取り合い奮闘して作り上げています。美味しくする秘訣は、ズバリ!牛が快適に生活できる環境を整えること。そのための「秘密兵器」も登場しますよ!手間も時間もかかるトロントロン牛乳。そこまでして、アリマン乳業が伝えたいこととは・・・

【制作意図】
「トロントロン」は川南町にある地名です。当たり前のように「トロントロン商店街」や「トロントロンドーム」「トロントロン軽トラ市」などいろんな所の名前になっています。そんな親しみのある名前を付けた「トロントロン牛乳」ですが、ただ名前が面白いだけではありません。生産しているアリマン乳業や酪農家さんの「牛乳」に対するこだわりや想いが強く、これは宮崎だけでなく全国の人に知ってもらいたいと思い制作しました。酪農の現状をどうにかしたい。牛乳をつたえたい。アリマン乳業の三浦崇さんの想いが届きますように。

【制作後記】
環境が良すぎると牛が鳴かない!!牛が鳴くまで何時間も待ち続けました。静かな牛舎で牛と向き合いなんとか録音できた牛たちの「声」。高らかに響いていると思います。また、この取材を通して「酪農家」「配送業者」「乳業メーカー」「販売店」「消費者」牛乳が色んな人の手に渡っていく様子も見ることができました。たくさんの人に出会えた取材でした。

岩手短角、靴になる。

2025年5月5日~2025年5月11日
IBC岩手放送 ラジオ放送部 日向莉子

【番組概要】
盛岡市に「岩手革」という革工房があります。岩手短角牛の革を使ったレザー製品を作っており、財布や名刺入れの制作、修繕作業をたった2人で行います。岩手の短角牛は自然放牧で大切に育てられており、健康で丈夫な身体に成長します。そんな岩手短角牛を扱った岩手革の品質が評価されて、世界的シューズメーカー「REGALコーポレーション」の目にとまり、日本で初めて、国産短角牛の革がREGALの靴に採用されることになりました。岩手革代表の中村俊行さんは、岩手短角牛のポテンシャルをもっと多くの人に知ってほしいと、強い想いを抱いています。

【制作意図】
畜産・仕入れ・製造、オール岩手で完成される岩手短角牛。国産短角牛として日本で初めてREGALの革靴に採用され、地元岩手では注目されています。食用の肉やさんさ太鼓など、一般に知られている要素、伝統的な用途以外にも、新しい役割が見出されている岩手短角牛の可能性を広めたいと思い、題材を決めました。

【制作後記】
取材した岩手革は盛岡の住宅街を抜けた小高い丘の上に、木々に囲まれてひっそりと構えられていました。工房は木目が基調となった床や棚が多く、柔らかなぬくもりを感じる空間でした。代表の中村さん、職人の佐々木さんは穏やかなお人柄ですが、牛の話になると表情が変わります。真っすぐな目で短角牛への愛や想いを熱く伝えてくれました。製造作業は、小さな工具を使った手作業での行程が多く、静かに淡々と行われていました。穏やかにゆっくりと流れる時間が日々の喧騒を忘れさせます。岩手にいらした際には、岩手革さんに脚を運んでみてはいかがでしょうか。そして、県北の豊かな大地でのびのびと育つ岩手短角牛を一目見ていただけますと嬉しいです。

世界に一つだけのとうふるーと

2025年4月28日~2025年5月4日
山陰放送 コンテンツ制作部 大田祐樹

【番組概要】
鳥取県東部に古くから食卓に並ぶ「とうふちくわ」。その歴史は江戸時代末期に遡ります。因幡地方の池田藩主が質素倹約を推奨し、この意向で生まれたのが「とうふちくわ」です。そのまま食べるのが一般的ですが、炒めたり、お寿司のネタになったりと近年食べ方にも変化が・・・。このとうふちくわは食べるだけでなく、今や楽器にもなり、その綺麗な音色に注目が集まります。今回は、そのとうふちくわで作った「とうふるーと」奏者の河下哲志さんに「とうふるーと」への思いや今後の夢を伺いながら、その唯一無二の癒しの音色を全国の皆さんにお届けします。

【制作意図】
20cmほどの「とうふちくわ」を試行錯誤の末、笛にしてしまった「とうフルート奏者」の河下哲志さんが楽器を編み出し演奏を始めて19年。今現在、「とうふるーと奏者」の後継者はいません。「とうふるーと」誕生からまもなく20年を前に、全国の皆さんに「とうフルート」の澄んだ音色とともに、河下さんの「とうふちくわ愛」を感じていただけたらと番組を制作しました。毎回、演奏前に「とうふちくわ」を包丁とオリジナルの穴開け器を使って作ります。その様子も収録し、鳥取のソウルフードの魅力を音でご紹介します。

【制作後記】
「とうふるーと」、私も吹いてみましたが、音は全く鳴らず。音が鳴るまで1年と聞き、気が遠くなりました。しかも練習のたびに、毎回新鮮なとうふちくわから「とうふるーと」を作るところから始まります。そりゃ後継者が育たないのも納得・・・と感じつつ、なんとか河下さんの後に続く演奏者が誕生することを願うばかりです。演奏後の「とうふるーと」は演奏者が実食!幸い、毎日食べても飽きない優しい味わいで、しかもヘルシーなのは救いですね。

煌めく春 ジュエリーの街こうふ

2025年4月21日~2025年4月27日
山梨放送 ラジオコンテンツ部 依田司

【番組概要】
山梨県甲府市はかつて良質な水晶が採掘されたことから、宝飾産業が発展しました。県内には宝飾関連企業が1,000社程あり、日本一のジュエリー産地になりました。春に開催される宝石のマーケットには全国から1万人以上が来場します。宝石研磨職人の深澤陽一さんは、ワークショップを通して宝飾産業の魅力を伝えていました。深澤さんは宝石に切子の模様を施す「甲州貴石切子」という甲府発の加工法を生み出した熟練職人。日本で唯一の公立ジュエリー専門学校では講師を勤め、自身の知識や経験を学生に伝えています。

【制作意図】
江戸時代から連綿と受け継がれ、積み重ねてきた宝飾加工の技術と精神。深澤さんはその伝統の中に新たな技法を生み、後進につなげています。故郷の地場産業が受け継がれ、さらに発展することを願う職人の心意気を、少しでも伝えられたらと思います。

【制作後記】
深澤さんは、学生たちへの指導の中で「自己満足の作品もいいけど、ジュエリーにするということは、そこに人の心をくすぐる要素が必要。ワクワクさせなくてはいけない。」 という言葉がありました。 ジュエリーは身に着けた人の心を躍らせ、人生をより豊かなものにします。 そこに積み重ねた「技」を活かす「術」があるのだと思いました。 響きました…これからも精進します。 

棒の手がつなぐバトン

2025年4月14日~2025年4月20日
TOKAI RADIO 制作局編成制作部 柴田 健

【番組概要】
愛知県の秋まつりで存在感を放つ演目「棒の手」。
県の無形文化財に指定される一方で、他の伝統芸能同様、後継者不足に悩まされている現状がありました。そんな中、棒の手・鎌田流に、長い歴史の中で初めてとなる出来事が起こります。伝統を後世へつなごうとする宗家の方の思いを語っていただきました。

【制作意図】
私自身も幼い頃、棒の手を教わっていました。
棒の手を習う同い年くらいの子たちの中には女の子もいましたが、ごく僅か。また、実際に棒の手を教えてくれる先生は男性ばかりでした。そんな中、棒の手の女性宗家が誕生したということを知り、直接お話を聞いてみたいと思い、番組を制作しました。

【制作後記】
深田さんのにこやかでありながらも、周囲の声に負けず家を守るという覚悟を感じる取材でした。また、棒の手を存続させるのは、「棒の手が好きという気持ちが一番大事で、それを他の人にも味わってもらいたい」という言葉が印象に残りました。
歴史上で初という出来事を受け入れた鎌田流が、どのように伝統を残し、そしてこれからの時代にどのように変化、適応していくのかが、楽しみです。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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