港町に響く音頭~細島・口説きの守り人たち~
2023年11月27日~2023年12月3日放送
宮崎放送 ラジオ部 宇田津 幸恵
【番組概要】
古くから漁業や交易で栄えてきた宮崎県日向市細島。この港町では、お盆の時期、初盆を迎えた家で音頭取りたちが音頭を取り、それに合わせて近所の人々が集まり踊って、明るく楽しくご先祖様や故人を迎えるという風習があります。番組では、交易文化の名残りとしてとどまり、細島の人々を家族のように繋ぐこの音頭の口説きについて、口説き手で師匠と弟子の関係である俵兵蔵さんと岸本謙二さんの物語とともに紹介します。
【制作意図】
今回の物語の舞台である細島は、父の故郷です。子どもの頃からこの音頭、口説きのメロディには耳馴染みがあり、いつか作品に残せたらいいなと思っていました。この音から記憶を辿ると、そこには細島の人々が家族のように集い笑って踊っている姿があり、その情景を思い浮かべると、楽しさだけではない、日本のお盆特有の懐かしさや切なさも感じます。日本各地にあるそれぞれのお盆の姿。その一つとして、細島のお盆の姿を口説き手の物語を通して感じていただけたら、そして、聴いた方が少しでもそれぞれの故郷へ思いを馳せる機会になったら嬉しいなという思いで制作しました。
【制作後記】
実は今回、師匠の俵さんに前向きな心境の変化があり、取材後に「来年はケンボ(岸本さん)と音頭を取るからあんたも踊りにきない!」と声をかけてくださいました。来夏、師弟の二人が一緒に音頭を取る姿を見られるのが、そしてそれに合わせて踊るのが今からとても楽しみです。録音風物誌に携わらせていただくと、何をとってもそこには物語が存在するということに改めて気づかされます。日々精進して、作品作りの筋力を鍛えていきたいです。
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