山城を起点にー新たな町づくりー
2022年5月23日~2022年5月29日放送
福井放送 報道制作局制作部 関美里
【番組概要】
福井県の最北端、あわら市細呂木地区。この地には、戦国時代まで使われていた神宮寺城址があります。神宮寺城址は、曲輪や土橋といった山城の典型的な構造を持っていて、当時の地区の様子をうかがい知ることができる貴重な城址です。現在、地区の人たちが、散策路をつくるなどの整備を進めていて、今年の夏に山開きを予定しています。城が建っていないからこそ、風に揺れる木々の音、鳥のさえずりに思いを馳せることができ、目を閉じると当時の様子が浮かび上がってくるようなロマンあふれる場所です。また、細呂木地区のコミュニティセンターでは、本格的な越前そばとカレーを楽しむことができ、開店すると、地区の内外から多くの人が訪れます。実はこのコミュニティセンターで料理を作っている人も料理を運んでいる人も、皆がボランティア。地区を盛り上げるために地区の人たちが協力しています。時代の変化とともに山城の周りの様子は変化し続けています。それでも、地区の人が細呂木を愛し細呂木を守ろうとしていることは今も昔も変わりません。細呂木地区では、山城を起点としたまちづくりの輪が広がっています。
【制作意図】
年々、地方の高齢化は進み、観光地の整備をはじめとしたまちづくりは、数名の有志で行っているという地域も少なくありません。そのなかで細呂木地区では、およそ半数ほどの地区の住民が有志として山城の整備のために力を貸していて、町づくりにこれほどまでに多くの人が集まることに驚き、取材を始めた。そこで聞けたのは「自分の住む地域のことをまず知り、自分たちでより良くしていかなければ」という熱い想いでした。強風吹き荒れる雨の日に行われた山城の整備に、20人もの住民が集まってくれたことを、城址保存会の会長は「忘れることはない」と話します。地区のコミュニティーセンターで、訪れた客に温かく声をかけ、絶品の料理を振る舞う人も皆、ボランティアです。自ら地区のために動く人たち、そして山城を拠点に地区を守っていた戦国時代の人たちを重ね、まちづくりとは何なのか考えていただけると幸いです。
【制作後記】
あわら市細呂木地区は、のどかな自然があふれる場所です。神宮寺城跡に一歩足を踏み入れると、風で葉が揺れる音、竹同士があたる音など自然の音がたくさん届きます。実際に山城をガイドしていただくなかで、城址を守る人たちの生き生きとした表情が印象的で、本当に自分の住んでいる地区を愛しているということが伝わってきました。コミュニティセンターで働く人も、訪れる人を心から歓迎していて、本当に温かい、素敵な地区だと感じました。
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