受け継がれるムラの誇り~福を呼ぶ三番叟まわし~
2022年5月16日~2022年5月22日放送
四国放送 ラジオ編成制作部 三浦審也
【番組概要】
めでたい人形の舞いで無病息災や五穀豊穣を祈る徳島の伝統芸能「三番叟(さんばそう)まわし」。三番叟まわしで健康と豊作・大漁・商売繫盛を予祝する門付け(かどづけ)は、現在、阿波木偶箱まわし保存会が受け継ぎ、年初めに1000軒の家々に福を授けています。今も続く門付けの様子や、文化の伝承・発信に尽力する阿波木偶箱まわし保存会の活動を紹介します。
【制作意図】
古くから人形芝居が盛んで、天狗久を筆頭に多くの人形師を輩出している徳島県は、全国でも有数の人形浄瑠璃大国です。正月儀礼や娯楽としての人形芝居を披露する「箱まわし」の芸人は、かつては四国全域、さらには本州・九州まで出向いて、全国各地の人形文化の振興に貢献しました。社会の変化や差別を乗り越えて、地域の誇るべき文化となった三番叟まわし・箱廻しについて知っていただきたいと思います。
【制作後記】
阿波木偶箱まわし保存会の辻本一英さんの祖母は、祝福芸の一つ・えびすまわしの芸人でしたが、差別のために人形を川に流したそうです。人々に福を運んだ人形たちを、差別のために捨てざるをえなかった箱まわし芸人たちの想いは想像するに余りあります。保存会は、阿波の人形文化の発信・伝承の拠点「人形のムラ」を徳島市にオープンし、今年5月から一般公開しています。現存する貴重な人形を展示する他、人形芝居の公演や体験教室も行われます。阿波の人形文化を次世代に伝えるため、今後も折に触れて取材させていただきたいと思います。
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