笑顔結ぶ、先生の食パン
2021年12月6日~2021年12月12日放送
ラジオ関西 報道制作部 林真一郎
【番組概要】
神戸の中心・三宮から電車で東へ約5分。動物園やスポーツ施設、そして神戸有数のにぎやかな商店街がすぐ近くにある王子公園駅。駅前にある開店4年目の小さな食パン専門店が舞台です。今では地元をはじめ、電車や車で買い求めに来る人もいるなど、その味を求める人が増えつつあります。店主の山口孝裕さんは元高校の教師で、野球部監督や顧問として甲子園にも出場しました。その後、転職してプロレスの広報担当として勤務しますが、教え子との縁でパン作りを始め、3年前に独立しました。材料にはこだわり、使う素材はハチミツを除きすべて国産。卵やマーガリンも使っていません。毎朝4時半から、すべての素になる生地作りを始めます。無骨なミキサーの機械音。山口さんは「生地を作るミキサーでの作業こそがパン作りの基本で大事だ」と言います。開店後、次々に訪れる客、そして店を支える教え子たち。転職を重ねてたどり着いた、食パン作りにかける山口さんの思いを送ります。
【制作意図】
パンの購入額が全国で最も高いのが神戸市(総務省の家計調査2018~2020年)です。特に神戸の中心地繁華街である三宮や元町には、食パンをはじめとするパンの専門店が乱立。最近では郊外の住宅地にも次々に開店するなど、神戸だけでなく、兵庫県内全体が「一大パン激戦地」です。
そんななか、とある雑居ビルの1階で店を始めて3年となる小さな食パン店。 店主は元高校教諭。2度の転職を経てパン作りを始めました。新型コロナで世の中に閉塞感が漂うなか、下町の食パンからもらえる元気や笑顔を伝えたいと考え、企画しました。
【制作後記】
かつて担当していた番組で「朝はパンですか?ご飯ですか?」をテーマに、神戸市内でインタビューしたことがありました。約8割の方が「パン」と答え、にわかには信じられませんでしたが、その後、次々にパン専門店がオープンしているのをみると、改めて神戸の人はパンが好きなんだと納得させられました。「パン屋さん」は華やかな職場と思っていましたが、作る職人の作業は想像以上に大変だと実感。手作業はもちろん、思った以上に機械が活躍していて驚きました。ただ、機械に入れる素材や混ざり具合、温度・湿度管理などの細かい作業などは、やはり人の目や手がないとできない、そこに機械が合わさって、初めておいしいパンが生み出されると思いました。神戸にあるたくさんのパン屋さんで、きょうも生地をこねるミキサーの音がしている、この音こそが朝の食卓を支えている、そう思うと、食パンの味がより一層、おいしく感じられるようになりました。
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