« 沖縄の伝統漁船「サバニ」の魅力を伝える造船大工 | メイン | 400歳のパイプオルガン »

2021年11月 8日 (月)

ミシンの音が鳴り響く町

2021年10月18日~2021年10月24日放送 
西日本放送 報道制作局 報道業務部 アナウンサー 奥田麻衣

【番組概要】
「昔は町のあちこちからミシンの音が聞こえてきたんです。」ミシンの音はこの町の音なんですと話すのは、今年で創業82年を迎える江本手袋株式会社3代目の江本昌弘さん。香川県は「うどん県」として有名ですが、その東端にある東かがわ市は国内の手袋生産シェア日本一を誇る「てぶくろ市」でもあります。かつてこの地域には仕事も資源もなく、「地域の生活を安定させる仕事を作りたい」ともたらされたのが手袋作りの始まりでした。130年に渡って築き上げた技術はトップアスリートからも絶大な信頼を寄せられ、メジャーリーガーやプロゴルファー、今年東京オリンピックで金メダルを獲得したフェンシング日本代表選手のグローブもこのエリアで作られています。しかし、地域の地場産業として栄えてきた手袋産業も時代が移り変わるにつれて多くのメーカーが生産拠点を海外へ。また、手袋職人たちの高齢化も進んでいます。職人たちの仕事は少なくなり、職人を目指す人も減り、かつて賑やかだったミシンの音が町から消えていく・・・。そんな中、手袋職人になりたいという10代の若者が今年50年ぶりに江本手袋に!職人たちの技を守り続け、次の世代の職人を育てていく。また賑やかにミシンの音が鳴り響く町にと奮闘する江本さんの想い、そして手袋職人たちが奏でる「この町の音」をお届けします。

【制作意図】
以前、別の取材で江本手袋を訪ねたときに工房から聞こえてくるミシンの音に心惹かれたのが取材のきっかけです。この手袋職人たちが奏でる様々な音を届けたい!!今もなお手袋づくりを全て手作業で行っている江本手袋。取材を進めてみると、その一つ一つの作業に職人のこだわりが詰まっていました。ところどころ錆つき味の出ている機械は、長年、職人が使い込んだ証。それは、職人の手に馴染んでいる機械だからこそ成せる技、そして音でした。一方で、今年50年ぶりに江本手袋に入社した夏田観可子さん19歳。彼女が奏でる音はまだまだたどたどしく、でもその音からは手袋を縫えることへの喜びや楽しさが伝わってきて、希望に満ち溢れていました。地元生産にこだわった、作り手の顔が見える手袋作り。その魅力を、音で少しでも届けられればと制作しました。

【制作後記】
「手袋を通して、地域の仕事を守る。」社会の変化によって何度も危機的状況に陥りながらも、先代からの想いを受け継ぎ、地元生産にこだわってきた江本手袋。昨年からは新型コロナウィルスによる影響でアパレルブランドや量販店からの注文は減少。再び厳しい状況に置かれています。それでも、手袋職人の継続的な仕事を確保したいとの思いからマスク作りを開始。さらに、手袋づくりの技術を活かしてハンドソックスを開発。新型コロナウィルスの感染拡大により、ドアノブや電車のつり革、パソコンなど特定多数の触った場所に手が触れることへの不安があることを知り、少しでも不安や悩みを解消できればと開発したそうです。「着けた人の気持ちが良くなる手袋を届けたい。」今回の取材を通して、工房から聞こえてきた音に心地よさを感じたのは、その一つ一つの音に手袋職人たちのそういった想いが込められているからなんだと心が温かくなりました。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/563083/34240474

ミシンの音が鳴り響く町を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

ブログ powered by TypePad