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2019年7月 8日 (月)

茶市ん風が瀬戸に吹く~佐世保早岐茶市

2019年7月1日~2019年7月7日放送 
長崎放送 ラジオ局制作部 藤井真理子

【番組概要】
長崎県佐世保市の南東部に位置する早岐。地区が面する早岐瀬戸は大村湾と外海である佐世保湾をつないでいて、最も狭いところでは10メートル余り。潮の干満によってはさながら川のようです。
その早岐瀬戸沿いに開かれるのが400年の歴史をもつ「早岐茶市」です。茶市の始まりは、農閑期に農産物と海産物を持ち寄って交換したこととされ、現在は5月から6月にかけて三日間づつ4回、合計12日間開かれます。地元では「茶市ん風にあたるぎんた、そん年は風邪ひかん。」…「茶市で風にあたると、その年は風をひかない。」と言い伝えがあるほど、地域に根付き、親しまれている茶市です。
今年も5月に入り、出店の準備が始まりました。一年ぶりに再会する顔、お店同士、そしてお客さんとの再会を喜びながら茶市が始まりました。煮干しを売る寺崎さんは出店して52年。茶市の思い出を話してくれました。若い頃は、自分で採ったワカメを売っていたいう小山さんは87歳。今は手作りの漬物を売っていますが、今年が最後の茶市と言います。

【制作意図】
安土桃山時代から続いていると言われる伝統の茶市ですが、時代の流れの中で少しずつ変化しています。出店している皆さんの事情も一様ではありません。茶市が開かれる早岐地区の風土、茶市の歴史と賑わいを紹介しながら、茶市に寄せる人々の思いを伝えようと制作しました。

【制作後記】
最終日を迎えた茶市に87歳の小山さんの姿はありませんでした。番組中では敢えて触れませんでしたが、自宅で転倒して怪我をしたそうです。伝統の茶市ですが、ここにも高齢化の波が押し寄せています。また、早岐茶市は7、8、9の付く日、例えば17日や18日などに開くの慣習ですが、集客を考えて週末の開催を検討したり、河川工事に伴う開催場所の変更を検討するなど、伝統の茶市も曲がり角に来ていることを感じました。

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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