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2019年3月 7日 (木)

季節を運ぶ

2019年2月25日~2019年3月3日放送 
南日本放送 ラジオ部 相原尚典

【番組概要】
鹿児島県の北部に位置する出水市。毎年、冬になるとこの町には、1万羽以上の鶴が越冬の為、飛来します。遠くシベリアから、日本にやって来る鶴たち。この様子は、冬の風物詩として「日本の音風景100選」にも選ばれています。鶴と出水の人々の歴史は古く、江戸時代から保護が行われ、戦後の混乱期も続いたこの活動は、この国内最大の越冬地を生み出しました。鶴と共に暮らす人々のひと冬の物語です。

【制作意図】
「出水と言えば、鶴でしょ?」鹿児島県民なら誰もが、そう答える程、県内では一般化している鶴の飛来と越冬。しかしその実態は、意外と鹿児島でも知られていません。実際に出水の街で出会った一万羽を超える鶴たちと、それを取り巻く人々の営み。そして人々の生活の一部として、季節の移り変わりを伝える鶴の存在を広く知ってもらうことが、この番組の制作に当たり、私が抱いた希望でした。1万羽の鶴が飛来するという現象は、何も自然に起こることではありません。人々が餌を与え、狩猟を禁じ、手厚く保護を行った歴史や子どもたちが年6回行う羽数調査。どれか一つでも欠ければ、この国内最大の越冬地は誕生しなかったでしょう。人々の努力と思いが作り出した、鶴と人々の関係を番組を通して感じてもらえればと思います。

【制作後記】
初めて出水を訪れたのは昨年10月でした。「MBCですが、取材を、、、」と言うと、最初に帰って来た言葉は、「また、メディアが鳥インフルエンザの取材に来たのか?」「もう、これ以上、騒ぎ立てないでくれ。」という冷たい言葉でした。事実、養鶏が主要産業の出水市にとって鳥インフルエンザとメディアは、悪い意味で強く結び付けられている様子でした。約3ヶ月間、早朝に行われる鶴の餌やりや保護活動へ取材に通う中で、少しずつ地域の方々からでてきた言葉。中でも「鶴は冬を連れてくる。」といった話からは、出水の方々と1万羽を超える鶴たちの絆の強さを感じました。大人から子どもまで、家族同然の存在になっている鶴と人との関係を今後も残していけるように、番組が少しでもその力になればと願います。最後に今回の取材に協力いただいた鶴保護監視員の皆様や鶴荘学園の先生方、生徒の皆さん。そして、出水の皆様に御礼申し上げます。

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コメント

四月下旬放送の熊本放送の鍛冶屋さんについてインフォメーションが載っていないのですが、どうしてでしょうか?

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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