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2018年8月10日 (金)

希望の鐘

2018年8月6日~2018年8月12日放送 
熊本放送 ラジオ局ラジオ制作部 久島健一

【番組概要】
熊本県合志市にある国立ハンセン病療養所菊池恵楓園の鐘。
強制隔離政策の中にあっても病気を治し、ここを退所されていった人たちがいました。
昭和26年から、鐘が老朽化する昭和40年代まで、退所者が園を出て行くときに打ち鳴らされていたそうです。高さ22mの塔に設置されていたこともあり、その近辺の方たちからすると一つの風物詩でもあったようです。その鐘が昨年復元され、また鐘の音がよみがえったのですが、当時の「希望の鐘」の持つ意味とは、入所者の方は現在は意味合いが違うと感じられていました。
その話を、広大な菊池恵楓園の鐘の前で、一度、社会復帰され、その後、病気の再発で園に戻らなければならなかった方に、見送られる側と見送る側の気持ち、そして、復元された鐘の音を聞いてどう聴こえるかを伺いました。

【制作意図】
国立ハンセン病療養所菊池恵楓園に昔存在した、社会復帰される人を見送る時に鳴らされていた「希望の鐘」が復元されたと言う話を知りました。この4月に10年ぶりにラジオ局に異動してきて、どこの放送局もそのことを取り上げていないことを知り、これを伝えるのはラジオの役目だと感じたのがきっかけでした。番組の尺の問題で伝え切れていない部分はありますが、「音」というものは、その時の状況、立場、様々な要因で「同じ音も違う風に聴こえる」と言うことを、苦労された元ハンセン病患者の言葉と共に、リスナーの皆さんと共有できればと思い制作しました。

【制作後記】
音数が多いほうが番組の趣旨には合うのかと思いましたが、最後まで迷い最終的に「自分が純粋に伝えたいことをやろう」と言う思いでこのテーマにぶつかることにしました。
軽々には扱えない内容ですので、マイクを持たず元患者さんのところに通い、納骨堂から、全宗派の仏壇が並ぶ葬儀場、誹謗中傷の葉書、目に見えるものは全て見せて頂いた上で、「希望の鐘」の話をうかがうことが出来ました。広大で自然豊かな静寂の中にある施設ですので、鐘以外目立った音はありませんが、広大な中にある「静寂」を録れればいいと思い、番組の中に封じ込めたつもりです。
私自身、勉強になりましたし、ラジオがこうやって伝えていくべきものがまだまだあるのではないかと感じることができる番組制作となりました。

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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