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2017年7月 5日 (水)

まっすぐ前を向いて営業します。8度の傾斜を持つラーメン店

2017年7月3日~2017年7月9日放送 
和歌山放送 報道制作局 柘植義信

【番組概要】

和歌山市の郊外、紀の川の堤防沿いにある木造の小さなラーメン店。店の名前はまる豊。店を切り盛りするのは70代後半の老夫婦。味もさることながら店の人気は店舗が8度傾いていること。地盤沈下と老朽化で店舗が傾いて久しい。顧客は専用の板や棒でラーメン鉢を支えてラーメンを食べる。ラーメンブームもあって知る人も知る人気の店に。しかし、店が立ち退くことになり、今月初めから市内の別な場所で心機一転、店を移転した。看板ものれんも元の店のまま。顧客も新しい店を訪れ、早速老夫婦のラーメンを味わう。店は傾いていないが、専用の道具は健在。店には前の店同様笑い声が絶えない。番組を通して町作りと店舗の持つ意味を考えてみたい。

【制作意図】
少子高齢化や後継者不足、過疎と地域経済の衰退で、個人商店が置かれている状況はとても厳しい。町から個人の店が段々減っている。こうした中、30年以上にわたり、堤防沿いの物置小屋を改造したラーメン店が人気を博していた。店の人気は店が8度傾斜していること。いつの間にか地盤沈下と老朽化で店が傾いてしまった。店を切り盛りするのは70代後半の老夫婦。いつも店からは元気な声と笑い声が絶えない。この店も立ち退きを余儀なくされ、今月初め、市内の別な場所に移転した。心機一転、新しい店でがんばる老夫婦。2人の心意気を通して活気を失う地方都市に勇気と元気を与えたい。

【制作後記】
店主は、「客の喜ぶ顔が見たい」と会社勤めをやめラーメン店を開いた。何をやっても長続きしないといわれた木造の店舗。店が地盤沈下と老朽化などで傾斜したことが新しいビジネスチャンスに客が考案したラーメン蜂が滑らない棒や平らになる板。客が店主の背中を押し、店を盛り上げていく。老夫婦も持ち前の明るさで、客に元気を与える。チェーン店の飲食店が増え、後継者難もあって素朴な個人の店が段々減っていることに改めて気づく。形骸的なチェーン店の店員の会話にはない老夫婦の会話に、人と人のつながりを感じる。人の心に働きかける仕事とはどんなものかを改めて考えてみたい。

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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