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2017年5月30日 (火)

横笛づくり~竹にきざむ音色~

2017年5月22日~2017年5月28日放送 
四国放送 ラジオ局ラジオ編成制作部 大谷初美


【番組概要】
阿波踊りといえばやはり”踊り”が印象的ですが、鳴り物に惹かれて始める人も多いのです。神下さんもその一人、25才から踊り連で笛を吹き始め、やがて45才からは笛の製作を始めました。現在、徳島県内で”みさと笛”を製作・販売しているのは神下さんのみで、その笛は有名連から企業連・学生連まで多くの人に愛用されています。楽器の製作といっても、自然素材である竹をそのまま使用するため、竹を切り出すところから見極める”技”が必要です。洗浄し、45cmに切りそろえ、そこから2年以上自然乾燥。そして指孔を独自の技術で開け、正確な音階が出せる笛に仕上げるまで大変な手間と時間がかかります。完成した”みさと笛”はなんとも優しい音色に仕上がっていました。

【制作意図】
阿波踊りの笛は『みさと笛』、みさと笛って?というところから取材が始まりました。篠笛はお祭りのお囃子などに使われてきましたが、阿波踊りの場合は笛の合奏、さらには三味線の伴奏と合わせるため調律が必要なのです。神下さんの工房を訪ねてみると、決して広くはない部屋に、”笛になるのを待っている竹”が山積みで、神下さんはそれを一本一本手に取り、丁寧に孔をあけ、調律し、塗りを重ねて仕上げていました。世界的にも有名になった阿波踊り、この工房がそのお囃子を支えているのだと感動しました。今の季節、夕方になるとあちこちから阿波踊りの練習の音が聞こえてくるようになり、はずむような笛の音色は人の心をウキウキさせてくれるものです。そんな音をきざむ風景を紹介したいと思いました。

【制作後記】
今回取材した神下さん、経歴をうかがってみると、もともとはジャズマンでサキソフォンを吹いていたそうです。徳島にUターンし、何か別の楽器を。。。と考えた時出会ったのが『篠笛』でした。笛づくりにはそんな音楽の経験が活かされているように思いました。中には依頼され特別な”装飾”をほどこす場合もあると聞き、取材の際に見せてもらいました。線状の細かい溝を幾重も彫り、そこに糸のような”藤”を巻き付けていく作業、出来上がりはまさに芸術品の域でした。70歳になった神下さん、その神技を伝承する後継者を現在探しているそうです。阿波踊りが踊り継がれているように、笛作りの技も伝承されていくことを願っています。

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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