人情温まる、みんなが支える街角寄席
2016年8月29日~9月4日放送
四国放送 ラジオ局ラジオ編成制作部 小喜多雅明
【番組概要】
徳島市内の商店街の外れの一軒の蕎麦屋。歴史を感じさせる趣のあるお店だが、近年の中心市街地の衰退の影響は例外なくここにもある。そんな中で決して広くはないこの蕎麦屋の店内では、月に一回1300円でお蕎麦付きで大阪からやってくる若手の噺家が落語を披露する寄席が開かれている。寄席には近所に住む一人暮らしのお年寄りや老夫婦などの常連が若手噺家をまるで孫でも見るような優しい雰囲気で応援している。「前より上手になったよ」「もう少しこうした方がいい」など若手の落語を周囲が温かい目で見守り育てている。運営はボランティアの45歳女性が行う。徳島での母のような存在だ。寂しくなる中心市街地の片隅で細々と残る温かい人情と触れ合いを伝える。
【制作意図】
この蕎麦屋のある地域は、かつて商店街やオフィス街として大変栄えました。ところが郊外型のショッピングセンターの出店やオフィスビルの移転などが重なり、人通りの少ない地域となってしまいました。しかし月一回の寄席からは、人々の優しい笑い声が聞こえます。古き良き風情をかすかに残し、そして脈々と残るこの街の人情、私たちが忘れかけているであろうこの宝をもう一度見直して頂ければとこの番組を制作しました。
【制作後記】
まだまだこれからという若手噺家をこの街の人々を中心に自分の孫のように優しく、時には厳しく激励する人情に、なんだか懐かしさを覚えました。インタビューしたお年寄り、そして店の雰囲気といい、祖父母の家を訪ねたような感覚でした。こういう人情や風情をいつまでも残していきたいものです。
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