« 早池峰神楽の舞納め | メイン | 神の魚がやってきた~県民魚ハタハタの季節~ »

2015年2月 4日 (水)

川尻刃物は人をつなぐ

2015年1月26日~2015年2月1日放送
熊本放送 ラジオ編成制作部付 宮川理佳

【番組概要】
熊本県の伝統工芸品・川尻刃物は、室町時代に起源があるといわれています。鋼と鉄を手打ちで鍛え上げていく刃物は切れ味もよく、「一生もの」と言われます。熊本市南区川尻の「林昭三刃物工房」は、最も古い川尻刃物の職人、林昭三さんが営む店です。以前は鋤や鍬などの農具を中心に作っていましたが、今では包丁を主体に作っています。時代の流れとともに昔ながらの手作りを買う人は少なくなり、職人も林さんを含めて2人。しかし年末には切れなくなった包丁や剪定ばさみを砥いで欲しいと持ってくる人が多くなります。そこには長く愛用される林さんの刃物がつなぐ人の縁がありました。そして、いいものを作る林さんの喜び、憂いとは・・・。

 

【製作意図】
林さんは65年以上、川尻刃物を作ってこられました。長年の経験が培った職人の勘で作り上げられる包丁は3日で10本。なかには3日がかりで仕上げるものもあります。「いいものを求める人のために作りたい」と刃物を作る林さんの姿は、大量生産で安いものを求めがちな現代に、「自分にとっていいものとは何か?」と問いかけてきます。伝統工芸・川尻刃物の職人が少なくなる中、手作業で作る刃物のよさや、職人を頼ってやってくるお客さんとの切れないつながりを伝えたいと思いました。

 

【制作後記】伝統の製法を守り継いできたこと、後継者育成に力を入れているということが評価され、去年、林さんは伝統的工芸品産業大賞の功労賞を受賞しました。また取材を進めている最中に「くまもと県民文化賞」を受賞するなど、嬉しいニュースが続き、「いい年になった!」と林さんの笑顔も倍増!ますますパワフルに刃物作りに取り組んでいらっしゃいます。私も林さんの包丁を買って嫁入り修行に励もうかと思案中です。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/563083/33151507

川尻刃物は人をつなぐを参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

ブログ powered by TypePad