”鉄”にかける青春~はたき続けた58年~
2014年7月7日~2014年7月13日放送
東北放送 ラジオ局制作部 菊池修司
【番組概要】
宮城の伝統工芸品、仙台箪笥。希少で高価なことでも知られますが、その理由や作業工程はあまり知られていません。仙台箪笥の錺金具を作る職人、八重樫榮吉さん(78)は毎日工房で一人鉄を打ち続けています。まず惹かれるのは、その鉄を打つ音。一人前になるまでは、その音を聞いて師匠である父親は身が入っていないと叱ったといいます。一定のリズムの中でみるみるうちに立体的な金具が仕上げられていく様子は、感動すら覚えます。そこに襲いかかる東日本大震災や後継者の不在。しかし、そんな状況にあっても、榮吉さんは変わらず”青春”の日々を歩んでいるのです。
【制作意図】
間違いなくその土地でしか聞くことのできない「音」である、榮吉さんの鉄をはたく「音」。その「音」がそこに携わる人や風景を想像させ、それにより歴史や伝統にまで想いを馳せることができるという体験を新鮮に味わっていただきたく制作しました。
【制作後記】
職人さんといえば、科目で少し怖いイメージがあるかもしれませんが、八重樫榮吉さんはそういう枠にはまりません。話すのは苦手と言いながら、とても人が好きな印象を受けました。サブタイトルの”はたく”という表現は、榮吉さんの言葉です。一人工房で鉄をはたき続けるというのは、想像してみるとかなりの重労働なはずです。けれども、榮吉さんは「自分に合っている」と楽しく仕事を続けています。榮吉さん、そして奥様の仁子さん、その二人三脚はまだまだ美しい仙台箪笥を作り上げていくと思います。
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