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2013年4月

2013年4月23日 (火)

鯛おどる春の鳴門海峡

2013年4月22日~2013年4月28日放送
四国放送 ラジオ編成制作部 三浦審也

【番組概要】
鳴門海峡に春を告げる桜鯛漁「まき釣り」を紹介します。難所と言われる鳴門の海で、先祖代々鯛を釣ってきた漁師の皆さんは、古くから伝わる漁法を受け継いでいます。鳴門海峡の潮流に揉まれた鯛は身が締まり、脂の乗ったこの季節ならではの味わいです。

【制作意図】
全国的に有名な鳴門鯛の漁の現場を、船上の臨場感のある音で伝えたいと思い、企画しました。

【制作後記】
観潮船や大鳴門橋の遊歩道からは、海峡周辺で操業している小型の漁船が見えます。しかし見るのと乗るのとでは大違いでした。春の嵐に木の葉のように翻弄され、晴れたと思えば直射日光で顔が真っ赤に。漁師の皆さんのご苦労を、多少なりとも感じることができました。


2013年4月10日 (水)

と申す、カッチン!山里の小さな語り部たち

2013年4月15日~2013年4月21日放送
宮崎放送 ラジオ局ラジオ部 小倉哲

【番組概要】

九州山地の秘境に数えられる、宮崎県西米良村。村には河童伝承をはじめとする沢山の民話が口承で残されています。村ではこの民話を後世に残そうと、小学校3年生から民話の語りを学ぶ取り組みが行われています。西米良村の民話はすべて「と申す、カッチン!」で終わるのが特徴。物語の世界に入って、一緒に終わる気持ちを込めて、語り部も観客も一緒に「と申す、カッチン!」を唱和します。春爛漫の西米良村。今回は村の夜桜会で披露された小さな語り部たちの民話の様子をお伝えします。


【制作意図】
「と申す、カッチン!」は拍子木の音を意味します。拍子木の音は物語のピリオドを意味するとともに、古くから魔除けの意味を持ちます。河童伝説が数多くのこる西米良村。村を歩くうちに、昔話の世界に迷い込んだ錯覚さえ覚えます。現(うつつ)からはなれ幽玄の世界に誘う語り部の民話。昔話の世界からちゃんと現実の世界に戻ってくる。「と申す、カッチン!」というユーモラスな響きにはそんな意味が込められています。

【制作後記】
今年は桜の開花時期が早く、取材時の西米良村はソメイヨシノと山桜の饗宴。その様子は『桜の森の満開の下』という坂口安吾の小説を思い出させました。「桜の美しさのあまりに異界を垣間見る」というお話と、村人の多くが河童伝説を信じる西米良の雰囲気とが不思議に一致して、背中に寒いものを感じさえしました。このことが、語りによってつながった異世界とのつながりを拍子木の音で断ち切る、という自分なりの「と申す、カッチン!」の解釈につながっています。

2013年4月 4日 (木)

石臼挽きで香り立つ、紀州のぶどう山椒

2013年4月1日~2013年4月7日放送
和歌山放送 報道制作局 報道制作部 花井 歩高


 和歌山県の特産「ぶどう山椒」。
つくだ煮や粉山椒の原料で生産量は日本一、実が大きくひときわ辛みが強いのが特徴です。
この山椒のおいしさを生かそうと、昔ながらの石臼挽きで粉山椒を作っている店が海南市にあります。

 紀州徳川家にロウソクをおさめ、明治時代には薬問屋だったというこの店は、高野山につながる街道沿いにあります。蔵に囲まれた木造建築は天守閣のように周囲を見渡せる3階建て。牛や馬に挽かせていた、という一抱えほどもある石臼が庭石になったりと、かつての雰囲気を今に伝えます。

 山椒は、まるごとに挽いてしまうと香りがとんでしまうそうで、この店では種と皮を取り除いてから、熱の加わりにくい石臼でていねいに挽いています。作業場はもちろん、店に入るなりさわやかな香りが広がります。勧められるまま、チョコレートにほんの少しの粉山椒をのせ口に入れてみると、しびれるような刺激と柑橘の香り、そのあとチョコの甘みが際だってきます。味覚が鋭くなった、そんな感覚です。

 社長の土田高史さんによりますと、フランスやイタリアなどに販路を広げ、評価も高いということで、ジャパニーズペッパー=山椒を見直すきっかけになればと話しています。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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