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2013年4月10日 (水)

と申す、カッチン!山里の小さな語り部たち

2013年4月15日~2013年4月21日放送
宮崎放送 ラジオ局ラジオ部 小倉哲

【番組概要】

九州山地の秘境に数えられる、宮崎県西米良村。村には河童伝承をはじめとする沢山の民話が口承で残されています。村ではこの民話を後世に残そうと、小学校3年生から民話の語りを学ぶ取り組みが行われています。西米良村の民話はすべて「と申す、カッチン!」で終わるのが特徴。物語の世界に入って、一緒に終わる気持ちを込めて、語り部も観客も一緒に「と申す、カッチン!」を唱和します。春爛漫の西米良村。今回は村の夜桜会で披露された小さな語り部たちの民話の様子をお伝えします。


【制作意図】
「と申す、カッチン!」は拍子木の音を意味します。拍子木の音は物語のピリオドを意味するとともに、古くから魔除けの意味を持ちます。河童伝説が数多くのこる西米良村。村を歩くうちに、昔話の世界に迷い込んだ錯覚さえ覚えます。現(うつつ)からはなれ幽玄の世界に誘う語り部の民話。昔話の世界からちゃんと現実の世界に戻ってくる。「と申す、カッチン!」というユーモラスな響きにはそんな意味が込められています。

【制作後記】
今年は桜の開花時期が早く、取材時の西米良村はソメイヨシノと山桜の饗宴。その様子は『桜の森の満開の下』という坂口安吾の小説を思い出させました。「桜の美しさのあまりに異界を垣間見る」というお話と、村人の多くが河童伝説を信じる西米良の雰囲気とが不思議に一致して、背中に寒いものを感じさえしました。このことが、語りによってつながった異世界とのつながりを拍子木の音で断ち切る、という自分なりの「と申す、カッチン!」の解釈につながっています。

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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