雪国~グラスの中の花咲かじいさん~
山形放送 報道制作局制作部 門田 和弘
雪国というカクテルがあります。日本では漢字で 雪国。海外のカクテルブックには Yukiguni と紹介される世界スタンダードカクテルの一つです。
この雪国を創作したのが山形県酒田市に住む井山計一さん。
背筋をピンと伸ばしスナップをきかせリズミカルにシェーカーを振る姿はとても86才の男性には見えません。
最近はこの雪国の生みの親が今なお健在だと知り、全国のバーテンダーや雪国ファンが本家雪国を求め酒田の地を訪れます。
冬に飲む1杯は「春を待つ喜び」・・・。
夏に飲む1杯は「涼やかな」気分になれます。
井山さんとは15年来のお付き合いをさせて頂いています。
去年暮れ、電話で話をしていた時「いつまで作れるのかなー」と井山さん。その言葉を聞き、久し振りに雪国を飲みたくなりました。
取材に出掛けた日は大荒れ。ホワイトアウト状態の山岳道を通り抜け4時間。着いた酒田は海がゴーゴーうなっていました。その吹雪の酒田の夜に出された雪国の1杯は忘れられません。
三角グラスに沈む「春を待つミントチェリー」
そのグリーンの輝きは本当にきれいです。
酒田の冬~春の情緒を1杯のカクテルの世界に描いた芸術作品「雪国」を、ラジオの音の世界で楽しんで頂ければと思います。