水浴びせ 年始に悲鳴 上げにけり
高知放送 ラジオセンター 中嶋 淳介
高知県大月町古満目(こまめ)地区で毎年1月2日に行われる「水浴びせ」。
350年ほど前、地区で大火事があったことをきっかけに防火の願いを込めて始まったとされている。地区の若者(10代~40代まで)が浴衣を着て、春日神社の石段下に正座。石段上に整列した長老らが「ひよこ(ひよけ)節」を歌い終えた後、バケツに入った海水を頭からかけると、若者達は「うぉー」と絶叫しながら必死に寒さに耐える。
水浴びせは場所を変えて計4回行われ、約80杯分の冷水が若者達に浴びせられることになる。地区では長老らから若者たちに、男の心意気を伝える行事ともされている。過疎高齢化が進むなか、長老達は地区外の若者にも参加を呼びかけ、伝統の灯を消さないように守り続けている。
地区長で長老の一人でもある中野きよみつさん(68)の姿を通して、高知県一サディスティックな行事に込められた思いを描く。参加者のさけび声を迫力あり音で録音するため、かなり接近していたところ、水浴びせの冷水を2回頭からかぶり、翌日、熱が出ました。