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2009年10月26日 (月)

地域に、自然に見守られサバーさまは行く!

山口放送 報道制作局 ラジオ編成部  村田 俊子

山口県の北西部、北浦地方に江戸時代から伝わる「北浦のサバー送り」は、ウンカ等の害虫を”サバーさま”と神格化して、稲につかないよう願う虫送りの行事です。

藁と竹で出来た2本の騎馬人形の”サバーさま”を住民がリレー方式で自分が住む地区の外(そと)に運びます。長門市藤中地区の有志によって作られた”サバーさま”は7月3日に飯山神社を出発、日本海を右に見ながら下関までの26キロの行程を、リレーされて行きます。

7月11日 出発から9日目、油谷川原浦の道祖神の傍に”サバーさま”は運ばれていました。油谷地区では、子ども会によって運ばれることが多いのですが、地区によっては子どもが数人しかいないところもあります。

藁と竹で出来た人形は、日を追うごとにボロボロになりながら、最後は「サバーさま 唐へ行け」と言って下関の海に落とされます。
山口県は、今年7月中旬豪雨に襲われたこともあり、サバーさまの行方も途中で途絶えてしまいました。

送るルートは概ね決まっていても、確かな申し合わせがある訳ではありません。害虫を隣の地区に送る訳ですから、送った方はその後の”サバーさま”の行方をあまり気にしません。

昔ながらの”虫送り”の行司は細々と伝えられていますが、自然を相手にお米を作ってきた人々のおおらかさも感じます。

子ども達は、青田を渡る風を受けながら”サバーさま”を運んだ初夏の夕暮れを忘れることはないでしょう。

今年4月、山口県の無形民俗文化財に指定されました。

※”サバーさま””さねもりさま”2体総称してサバーさまと呼びます。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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