金沢・寺町「寺院群の鐘」
北陸放送 制作部 金多 妙子
平成8年、当時の環境庁から「残したい日本の音風景100選」に選定された「金沢・寺町寺院群の鐘」。
あれから、10年後どのような状況なのか気になり、鐘音会の会員をお尋ねしたところ、「続けていますよ」と、皆さんお歳をめされたものの、とてもお元気そうでした。
お住まいは金沢でも古い街並みの残る地域で、町内の人たちの絆も強く、お年寄りはもちろん、後から移り住んだ人たちもそんな環境に次第に馴染んでいくようなところです。
会員の皆さんは、自分たちが“鐘つき”を止めたら、「音100選」が99選になると大変だという危惧も手伝って、責任感も感じながらも楽しんで続けていらっしゃるご様子でした。
しかしながら、会員の平均年齢80歳近くとなった今、これから先は後継者を交えながら続けていくことを願うのですが、このあたりはまだ先の課題のようです。
取材は限られた曜日と時間ということで、日脚の短くなった夕暮れ時、鐘をつきにお寺にいらっしゃる方を何回か取材しました。
鐘を付き始めるころは真っ暗、でも12年も付いていらっしゃる会員は慣れたもので、懐中電灯も持たずに足取りも確か。同行した私のほうが足元おぼつかなく、鐘楼の石の隙間に足を挟んでしまい、大きな青あざが。
さて、これからの時代は自分たちが住んでいる地域を大切にしたいという想いはますます強くなるように思いますので、このような活動は広く皆さんに知っていただきたいと思い制作しました。