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2006年12月 4日 (月)

村を守ってバスは走る~諸塚交通の秋~

宮崎放送 ラジオ局長 湯浅 和憲

宮崎県諸塚村。村の総面積の95%を山林が占めています。
人口は2000人余り。村人は先人たちの残した山を大事に受け継いでいます。おもな産業は農林業。

中でも、椎茸は原木栽培で生産され、諸塚の特産物として県内外にその名を知られています。

諸塚交通は2年前、宮崎交通に替わり、村内4つの路線に参入した個人経営のバス会社です。社長は黒木重人さん、53歳。現在諸塚交通はバス6台、タクシー2台を保有して、村民の貴重な交通手段としての役割を果たしています。

諸塚交通の乗客の80%はお年寄りや、小中学生=いわゆる、車を持たない交通弱者と呼ばれる人々です。社長の黒木さんは、坂の上にある村立病院の玄関までバスが上がるようにしました。また、高齢者の利用の多い諸塚温泉にも新しくバス停留所を作りました。

諸塚村の人々は、一様にきめ細かく運行される諸塚交通バスを歓迎しています。諸塚交通は人を運ぶだけではありません。会い朝本社から始発地に向かう道すがら、朝刊を降ろしていきます。新聞を待っているのは地区のおばあちゃんたち。

諸塚中学校3年生の藤岡羊平君は、来年卒業する羊平君は村外の高校へ進学します。「人口流出」と「過疎化」の流れを何とか食い止めたいと黒木さんは羊平と顔を合わせる度に、「村へ帰れ」と訴えるのです。

走れば走るほど経費がかさむ諸塚交通ですが、地域の生活を守り先人たちの残した山の文化を伝えるため、黒木さんは今日もバスを走らせます。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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