塩の産声が聞える~我が子は戸田塩~
静岡放送 ラジオ局 ラジオ部 渡辺 玲子
沼田市戸田の「NPO 戸田塩の会」は1500年ほど前、戸田で作られた塩が朝廷に献上されていたという歴史を掘り起こし、塩作りを地域文化として伝承しています。
戸田塩は、海水を駿河湾沖1キロから汲み上げ、薪を燃料に大きな釜で煮詰めるというシンプルな製法で出来上がります。
会を発足して10年。研究に研究を重ね、今の塩の味にたどり着いたと理事長の菰田智恵さんは語ります。そのお陰か、全国から注文が舞い込み、買い物客も何度となく足を運ぶようになりました。
そのおいしさに隠された秘密は、会のメンバーの手間暇を惜しまず塩と向き合う姿勢と、とにかく塩作りが楽しいという思いがあるからだろうと感じました。
今回はその塩作りの様子をご紹介します。子育てを卒業した50歳代から70歳代のお母さんたちが、塩を我が子のように慈しんで作り上げる姿を思い浮かべてみて下さい。
取材中、戸田塩を使った3000円もする食パンをおやつにいただきました。素材にこだわるパン屋さんが選び抜いたのが戸田塩です。皆で分け合い「おいしいねー」と笑顔がこぼれました。
そんな人間の笑顔に迎えられたとき、塩も同じように生まれてきた喜びを感じているのではないでしょうか。