« 2025年12月 | メイン | 2026年3月 »

2026年2月

2026年2月 3日 (火)

組踊に魅せられて ~300年をつなぐ 伝える~

2026年2月2日~2026年2月8日
ラジオ沖縄 制作報道局 報道部 吉田 鉄太郎

【番組概要】
18世紀の琉球王国時代、歴代中国王朝からの使者、冊封使(さっぷうし)を歓待するために、王府の役人であった玉城 朝薫(たまぐすく ちょうくん)によって創始された芸能が、組踊(くみおどり)です。朝薫は能や歌舞伎、中国の演劇をヒントに、琉球古来の芸能や故事を取り入れ作品をつくり上げていきました。
廃藩置県、沖縄戦、アメリカ施政下からの祖国復帰など時代の荒波や世替わりを経た現在も、役者である立方(たちかた)や地謡(じうてー)と呼ばれる歌唱演奏者、そして先達の指導者の皆さんが組踊を育み、次世代へつなげようとしています。一方で、地元沖縄でも組踊について知っている人は多いとは言えません。また専業で携われる人は少なく、会社員など仕事をしながら舞台や稽古に臨む演者がほとんどです。
この組踊に惚れ込み、携わる人たちをサポートしたいと汗をかき続けるのが、東京都出身の大野 順美(おおの まさみ)さんです。2003年に来沖、組踊のホームグラウンド「国立劇場おきなわ」スタッフ、2010年からは一般社団法人「ステージサポート沖縄」代表理事として国内外に沖縄の伝統芸能の魅力を発信し、舞台制作をし続けています。


【制作意図】
20年余り前、都内の大学に通っていた私は、沖縄県人会の学生が集まる喫茶店で琉球芸能について熱く語る女子学生の言葉や姿が印象深く残っていました。その当人、大野さんは現在、組踊はじめ伝統芸能の縁の下の力持ちとして沖縄で奮闘されています。
沖縄のローカルテレビ局で長くスポーツ記者をしていた私は、大野さんの活動を知りながらも、なかなか組踊を含めた取材ができずにいましたが、去年ラジオ沖縄で勤務することになったことをきっかけに、大野さんの活動や組踊の魅力を紹介できないかと考えていたところ、録音風物詩での取材機会を得ました。
沖縄の人や文化、芸能が好きで、心を寄せて下さる方が多くおられます。その中の一人に、長く組踊のため奔走する方がいらっしゃることを知っていただき、組踊にも関心を持っていただけたらと考えました。

【制作後記】
古典芸能のイメージが強い組踊ですが、大野さんからは6年間かけ調べた中で、戦後80年間だけで、115作品の新作組踊が確認できたと聞きました。中には子どもたち向けに桃太郎やブレーメンの音楽隊といった昔話や童話をアレンジした作品もあるそうです。大野さんは「戦後創作組踊集」という本として出版されました。伝統芸能でありながらも時代の要素を取り入れ、幅広い世代に関心を持ってもらう取り組みは、組踊でも行われていることを知りました。大野さんには、能でも沖縄戦を題材にした作品があると教えていただいたので、鑑賞の機会を得たいと考えています。
本編でも触れた2021年製作の「シネマ組踊」は、コロナ禍での舞台のピンチを、何とかチャンスに代えようという心意気が伝わります。最近では那覇空港に常設されたミニシアターでも上映されていましたが、多くの方にご覧いただくことができればと思います。また「国立劇場おきなわ」のホームページからは、組踊の歴史を知ることができるデジタルライブラリーや、公演情報も見られます。「こちらも、ぜひご覧ください!!」との、大野さんからの伝言です。

 

地域を守れ!伝統の水かけ出初式

2026年1月26日~2026年2月1日
山梨放送 ラジオコンテンツ部 依田司

【番組概要】
山梨県、甲府盆地の東部に位置する山梨市。消防団・日川第五部の出初式では、火の見櫓に立った団員に地上から放水を行う「水の洗礼」が行われます。1月、気温3℃の寒空のもと、20分間も冷たい水を全身に浴び続けます。かつて、この地域では水害が多かったため、消防団員の水への恐怖心を克服してもらうために大正時代からはじまり、100年以上続く伝統行事です。若手からは「なぜ真冬にこんなことをするのか分からない」という正直な声も聞かれます。そうした戸惑いと覚悟が交差する現場から、地域防災を支える人たちを描きました。

【制作意図】
消防団と聞くと、少し遠い存在に感じる人もいるかもしれません。しかし、特別な人ではなく、地域で暮らす一人ひとりが消防団を支えていることを伝えたいと思います。若手団員の率直な思いや、幹部が水の洗礼を受ける姿から見えてくるのは、「地域は俺たちが守る」というシンプルな気持ちでした。伝統行事の迫力だけでなく、その裏側にある訓練、仲間同士の支え合いに光を当てることで、防災や地域とのつながりを、少し身近に感じてもらうきっかけとなる番組を目指しました。

【制作後記】
最初に取材したとき、「若い人が多いな」という印象を受けました。しかし、全国的に消防団員が減少する中、この地域も例外ではありません。かつては20人から30人ほどが所属していたといいます。伝統行事である「水かけ出初式」があることで、入団をためらう人がいるのも事実です。
それでも印象的だったのは、団員から聞かれた声でした。「消防団に入ってイメージが変わった」「思っていたより楽しい」といった前向きな感想が多く聞かれました。地域の事情をよく知り、いざというときには真っ先に現場へ駆け付ける消防団は、地域防災に欠かせない存在です。危険を伴う活動だからこそ、日頃の訓練や規律を守ることが大切にされています。その一方で、若い世代も参加しやすい環境づくりが進められていることも感じました。地域の安心・安全を陰で支える、まさに身近なヒーローたちです。




半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

ブログ powered by TypePad