鳴った!幕末から伝わる鼓笛の音
2025年7月7日~2025年7月13日
山形放送 丹野 貴雄 報道制作局制作部
【番組概要】
山形県上山市で160年以上前に始まった歴史ある鼓笛隊が、今なお活動を続けている。
「上山藩鼓笛楽」、戊辰戦争の頃に上山市で奉奏されたことが始まりと伝えられ、現在は市の無形文化財に指定されている。毎月1回、子どもから大人まで様々な世代が参加する練習会。神社の例大祭や秋の大祭で奉奏し、お祭りを盛り上げる存在として古くから地元の子どもたちの憧れの存在ともなっているという。この鼓笛の音をこれから先も継承していこうと奮闘する様子を描きました。
【制作意図】
もともと「上山藩鼓笛楽」は女性による演奏は禁じられていましたが、伝統ある鼓笛楽を次世代に伝えるため、平成6年から女性も参加できるようになりました。こうした中、去年、女性初の会長となった藤原さんは、しの笛とフルートの奏者として音楽活動を行っている音楽家。彼女自身も小学生の頃に参加していて、この度会長になった藤原さんに、鼓笛楽を後世へ伝え継ぐ意志を伺いました。また、取材で出会った、篠笛を体験しにきたという8歳の男の子。なかなか笛を鳴らせない彼が、まわりの指導者たちに教えられて、最後には音を出せるようになるまでの姿と、この鼓笛楽が今後も未来に伝えられていく様が重なり、その様子を伝えたいという思いで制作しました。
【制作後記】
元々の想定では、継承活動を楽しく続ける様子をにぎやかにお伝えできれば、という思いの元、取材に臨みました。発足当時は、合戦のさなかに戦術の一部として使われていたということで、演奏を間違えてしまうと、自軍の作戦失敗にもつながるという命がけの状況だったという話を藤原会長からお聞きして、演奏する人たちの思いは変われど、160年以上前から現在まで伝えられてきた鼓笛楽の歴史に思いを馳せました。また、最後に登場する、はじめて笛を鳴らすことに挑戦した8歳の男の子は、インタビューに答えるのは難しかったものの、鳴ったその音からは、鼓笛の音が次世代へ続いていくであろう気配を感じたので、その様子を大切に伝えたいと思い、最後に紹介しました。
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