みんなでポクポク~音楽のお寺・龍泉寺
2023年11月13日~2023年11月19日放送
和歌山放送 報道制作部 寺門秀介
【番組概要】
和歌山県南部・田辺市にある浄土宗の古刹「龍泉寺」では、毎年春と秋の彼岸に檀家や市民を本堂に集めてユニークなコンサートを開いている。参加者が楽器の演奏に合わせて小さな木魚を一緒にポクポクと叩きながら楽しめる趣向が好評を博している。ブラジル・サンパウロ出身で日系三世の住職・田中実マルコスさんと、妻で龍泉寺の娘・素子さんが企画したもので、回を重ねるごとに参加者の輪が広がるとともに、妻・素子さんの母親までオカリナの演奏に加わるなど、お寺総出の一大イベントとなっている。住職夫妻がこのコンサートに込めた思いを音楽と歌で綴る。
【制作意図】
紛争や事件、虐待、経済危機など殺伐とした世情のなか、音楽を一緒に楽しめる寺として心の拠り所にしようと工夫を凝らす住職夫妻。葬儀や法事など「死」を連想されてしまいがちな寺だが、住職夫妻は仏具の木魚でさえも気分を高揚させるアイテムとして活用することで、寺を「生」の象徴に昇華させようと強く願っている。寺の重要な役割をコンサートに込めて表現しようと励む和歌山県南部の地方都市の動きを紹介する。
【制作後記】
住職の田中実マルコスさんが語る「生きる希望の湧く癒やしのお寺にしたい」という言葉が胸に刺さった。マルコスさんの故郷・ブラジルの教会でも歌は欠かせない重要なもので、両者に共通したスピリットを連想した。音楽を聴きに、歌いに、時には演奏しに集まる年2回の寺参りは和歌山県田辺市民の心と体を動かす原動力になっていると感じた。お寺の多様性もまた、人の心や命を救う重要な要素なのだろう。
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