多年を保つ保多織~江戸時代のお殿様からのGift~
2023年11月6日~2023年11月12日放送
西日本放送 ラジオセンター 白井美由紀
【番組概要】
高松市にある岩部保多織本舗。ここで織られるのが、保多織(ぼたおり)。その歴史は古く、江戸時代から330年以上も続いている織物です。高松藩初代城主松平頼重公が京都の織りもの師を呼び寄せ、朝夕に風がピタッと止まってしまい蒸し暑いこの高松の環境でも快適に過ごすことができるような衣服のための織物を作らせたのが、保多織のはじまりと言われています。その保多織を唯一受け継いでいた岩部さんを取材しました。
保多織は、平織りの変形で、肌ざわりの良さと通気性や吸水性にすぐれた織物です。独特な凹凸があり、このすき間が空気を含むため、夏はさらっとした肌ざわりで、冬は逆に肌に触れたときの冷たさをあまり感じないという特徴があります。江戸時代から発明されていた機能性衣服です。さらに、「多年を保つ」といわれるように大変丈夫でもあります。保多織の命名も頼重公だったといわれています。そんな歴史ある織物を実際に手織り機で織りながら話をしてくださいました。
歴史があるから残すのではなく、良いものだから自然と残っていく・・・そんな保多織を続けていきたいと岩部さんはおっしゃいます。
【制作意図】
各界で伝統の後継者不足が叫ばれる中、この保多織は、若い世代からも伝統をつないでいこうという声があります。その理由は、やはり「着心地の良さ」。良いものだからこそ、これまでこんな長い歴史をくぐりぬけてきた保多織です。縦糸が歴史だとしたら、横糸に人々の知恵や生活、寄り添う優しさが織りなされています。
もともとは幕府への献上品にも使用される高級品ですが、今は、私たちの身近な場所で、衣服以外にも、シーツやハンカチなど、その吸水性などの機能にも注目を集めています。決して華やかで目を引くものではないけれど、こんなに長い間、こんなすごい機能を持った布が織り続けられていたこと、そしてその存在をたくさんに人に知ってもらいたい。その肌で触れてもらいたい。と思い制作しました。
【制作後記】
お殿様の衣服として織られていた技法ですが、最近では、綿素材のものが多く保多織のハンカチや、てぬぐい、ふきんなどどしても、販売されています。私も使っています。こぶりなクッションカバーを最近買いました。とにかく気持ちよくて触れていたいので、家では、よく、そのクッションを抱いています。冬はあたたかく、夏は、ひんやりして気持ちいいですよ。
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