心地よき竹の響きを求めて
2023年5月22日~2023年5月28日放送
東北放送 ラジオ局制作部 鈴木美希
【番組概要】
仙台中心部から車で1時間ほどに位置する、仙台市太白区秋保町に音吉屋ふえ工房。主の音吉さんは篠笛作りを始めてもうすぐ50年を迎えます。竹の調達から調律、塗りまで一貫して製作しています。各地からの注文を受け製作していましたが、2011年3月発生の東日本大震災が音吉さんに転機をもたらしました。古典調の篠笛の依頼が来たのです。それまで主に製作していたのは、西洋音階に合わせて調律されたドレミ調という、阿波踊り、仙台・すずめ踊りなどのお囃子や、様々な楽器とのコラボも楽しめる篠笛。一方、依頼された古典調は郷土芸能で使われる、独特の音程をもつ笛で、音吉さんは指遣いを動画で確認したり、依頼者との相談を重ねて製作します。音吉さんの笛作りへの思いを届けます。
【制作意図】
仙台で5月に行われる「仙台・青葉まつり」ではお囃子にあわせて踊る「すずめ踊り」が披露されます。お囃子に欠かせないのが篠笛。仙台すずめ踊りで、音吉さんの作る篠笛が盛んに使われていると聞き、工房にうかがいました。竹の細さや性質によって、さらには吹く人の癖を見極めながら調律していることを知りました。一つ一つの篠笛に向き合う音吉さんの思い、そして竹から生まれる響きを感じていただけると幸いです。
【制作後記】
音吉さんはご自身で竹を調達しています。篠笛は、長さがあって細い竹でないと笛の材料にはできません。宮城県、福島県、茨城県の沿岸部の竹林で調達をしていましたが、東日本大震災の影響で9割の竹が採れなくなってしまいました。この先、どのように調達していこうか悩んでいるそうです。自然が材料となるため、環境と密接に関わっていることを改めて感じました。
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