校舎によみがえるショパンの愛した音色
2023年5月8日~2023年5月14日放送
信越放送 編成制作部 美斉津 千夏
【番組概要】
長野県須坂市立東中学校の「プレイエルに命を吹き込む」取り組みを、100年前のグランドピアノの音色とともに紹介します。「プレイエル」とは200年近くもの間、ピアノ音楽の歴史を支えてきたピアノメーカー。ヨーロッパ王室御用達の逸品として評価され、特にポーランドの作曲家ショパンが愛用したことで知られます。現在の価値にしておよそ2000万円ともされる貴重なピアノが、東中学校に存在しました。65年前に学校の開校記念として地元出身の実業家が寄贈。ところが老朽化してほとんど使われなくなっていました。演奏はおろか音の出ない鍵盤の多さに調律師も絶句するほどの状態。そこからどのように音が出せる状態になっていくのでしょうか。話は復活劇にとどまらず、東中学校の歴史を紐解くことになり、関わる人たちの人生を垣間見ることにもなります。主人公プレイエルピアノを取り巻く皆さんの思いを届けます。
【制作意図】
100歳のグランドピアノの音色を、生徒たちがよみがえらせたストーリーに着目。
調律師の米山宏貴さんは、相談を受けた時に「本物なのか?」とまず疑ったそう。そのぐらい世界中で貴重なものだったからです。米山さんが音を出してみると「私、まだ生きています」という声が聞こえたそう。ここからプレイエルのピアノが昔話を語るように、様々な人に出会わせてくれることになります。「楽器としての魂を抜かれた状態」と語った前校長の島田浩幸先生の思いが、生徒に伝わり、生徒も修復作業、資金集めに奔走。そして、このピアノに出会ったことで、音楽の道に進むことができた…という卒業生にも出会います。
【制作後記】
どこまで臨場感を持たせて、このプレイエルピアノらしい音色を録音できるかが一つの挑戦でした。取材の中で、「ピアノは響板が空気を振動させることで大きな音が鳴る」と伺い、ミニコンサートでは、響板を意識しながら、開けた蓋の縁から少し離した位置に録音機材を設置。心地良い音色に感じていただけると嬉しいのですが・・・。東中学校では今後も、プレイエルピアノを通した学びに、力を入れていくようです。すでに動き出しそうな展開もあるとか。楽しみです。
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