人と道具を繋ぐモノづくり
2022年6月6日~2022年6月12日放送
西日本放送 ラジオセンター 白井美由紀
【番組概要】
香川県三豊市で、農道具の「柄」を専門に製作する「大西柄物製作所」大西正文さん美佐子さん夫妻がこだわりの商品を作り続けています。こだわりは、国産材のカシとシイの木にこだわっています。自宅工房の倉庫で、気を1年半かけて乾燥させ、蒸気でねじれやゆがみを取り、そこから加工。加工は機械化されていますが、すべての工程は正文さんが行います。道具を長く大切に使ってほしいと、古い農道具も傷んだ柄の部分を新しくしてくれるので、発注は全国からくるそうです。正文さんのお父さんの代から60年以上続いています。最近では、農道具のほかに、うどんの生地を薄く均等に伸ばすために欠かせない「麺棒」や、「太鼓のバチ」なども製作。特に、「麺棒」は硬くてゆがみが無いので使いやすいと人気。自宅の一部にこの麺棒を使ってうどん打ちを体験できる「うどん体験教室」も作り、妻の美佐子さんが教えてくれます。農道具の「柄」ってそんなに意識したことが無い方も多いかもしれませんが、実は、道具の「アタマ」と、使う「人」を繋ぐ大切なパーツ。その手触りによって、使い心地も変わってきます。だからこそ、こだわりにこだわりを重ねて、丁寧に作っているそうです。
【制作意図】
大西正文さんのこだわりと、美佐子さんの明るさで、この「柄」が道具と人をつなぐだけではなく、人と人をつなぐ存在になっているなぁと感じ、今のこの時代だからこそ、こんなご夫婦、こんな道具が、必要なんじゃないかと、番組で取り上げさせていただきました。
【制作後記】
実は、取材時に、私もうどん打ちをしました。自分で打ったうどんの美味しいコト!!(ちょっと見た目はイマイチでしたが・・・)取材のときの美佐子さんからのおもてなしと、正文さんの温かい言葉。息子さんが写真を撮ってくれたり、本当にご家族のきずなを感じました。柄物の製作は、正文さんの代で終わりだそうです。正直、儲けにつながる仕事ではなく、在庫も多く抱えなくてはならないため、お子さんたちには継がせられないとおっしゃいます。ただ、正文さんの丁寧な仕事ぶりは、きっと受け継がれていくと思います。ご家族のあたたかいおもてなしの心は、確実に受け継がれます。そして、特筆すべきは、ご夫婦の仲の良いコト!!!美佐子さんが看護学生だった時に配属されていた病院に偶然、1週間だけ、正文さんが入院されたことから、二人は出会い、ご結婚されたそうで、それから50年・・・。なれそめも楽しそうにお話してくれました♪取材の後、大西さんの作った麺棒を使っているうどん屋さんで、お昼を食べました。香川県の高瀬町にある小野うどんさんです。ここも、ご夫婦が仲良かったので、何か、そういう道具がもたらす「縁結び」的な要素も感じました。
※放送内のうどん屋さんの音風景は、小野うどんさんです。
コメント