「命を持つ瞬間(とき) ~500年の歴史は海を越えて~」
2022年6月13日~2022年6月19日放送
長崎放送 報道制作部 戸島夢子
【番組概要】
長崎県大村市は、長崎県の中央に位置し、多良の山々と大村湾に囲まれた自然豊かな市で、国指定天然記念物であるオオムラザクラや花菖蒲が有名なことから花の町としても知られていて、空港があることから長崎の玄関口ともいわれています。そんな大村にある松原地区は、人口およそ2千人の小さな町です。松原地区には、長崎県の伝統的工芸品に指定されている「松原包丁」があります。それは、壇ノ浦の戦いからさかのぼり、500年前から地域の人々のために農業器具や包丁を作る技術が職人たちによって受け継がれており、松原の大きな産業となっていました。しかし、全盛期では17軒あった鍛冶屋も3軒のみとなりました。そこから、松原包丁の歴史を繋ぐため田中鎌工業4代目、田中勝人さん(59歳)の挑戦は始まります。その熱意は海を越え今では海外にも…職人の包丁作りにかける思い、松原包丁の新たな歴史をお送りします。
【制作意図】
伝統を受け継ぎ刃物づくりを何百年も続ける鍛冶屋は日本でも珍しくないと思います。田中さんは、その伝統を受け継ぎながらも今の時代に受け入れられる形を追求し、新しいことに挑戦しています。米軍基地が近いこともあり、海外のお客様が鍛冶屋に直接訪れます。日本の伝統と海外需要。小さな町ではありますが、松原地区から世界へという大きな挑戦を伝えたいと思い取材しました。そして、打つ音、削る音どれにしても一定でなく不規則なリズムを刻みます。一つ一つ手作りで同じものが一つとしてないことを音で感じてほしいです。
【制作後記】
今回取材をさせていただいた、田中鎌工業4代目・田中勝人さんは、私の中の職人というイメージを変えてしまうほど、とても穏やかで人の心の中に入るのがうまく、いい意味で職人らしくない職人だと感じました。田中さんの人柄から、お客さんも安心してリピート購入できる、メンテナンスに来る理由だと思います。現在、勝人さんの息子・裕紀さんも5代目として修業されています。この先も何百年と続く歴史として松原包丁が、国内だけでなく世界で愛されることを願っています。
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