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2021年10月

2021年10月14日 (木)

屋久島民謡 まつばんだ

録音風物誌2021年度番組コンクール 最優秀賞作品
再放送

2021年10月4
日~2021年10月10日放送 
南日本放送 ラジオ制作部 七枝 大典


【番組概要】
1993年。世界自然遺産に登録された「屋久島」は太古から続く自然と その自然と共存するため、人々は様々な知恵を出し合い、暮らしてきました。この屋久島には「まつばんだ」という民謡があります。「屋久の御岳を愚かに思うなよ 金の蔵よりゃなお宝」は、この歌の象徴的な歌詞。音階は琉球音階に似ていますが、いつのころから歌われているのか、だれがつくったのか。そして曲のタイトルである「まつばんだ」の意味を知る人は いません。記録にもありません。しかし、「この歌こそ屋久島の宝」と信じて、後世のために歌い継いでいる人たちがいます。先日、地元の有志で動画が作成され、インターネットでも公開されました。歌に込めた思いや自然との共存について伺うと共に、屋久島は育んできた文化の1つをご紹介します。

【制作意図】
鹿児島県は南北およそ600km。ここには様々な文化や風習、そして歌が残っています。特に南方の島々には サンシンという三味線に似た楽器と歌声で残る「島唄」という素晴らしい文化が残っているのですが 世界遺産の島・屋久島には、オリジナルの楽器は存在せず、代々歌い継がれている歌も ほとんどないという事を知りました。数少ない屋久島民謡「まつばんだ」を多くの方に知っていただきたい、そして途絶えようとしている民謡を独自の解釈で歌う方や集う方を紹介することで この歌のルーツを検証する機会のきっかけの1つとしたいという思いで取材しました。

【制作後記】
ほかの局の皆さんと同じくコロナの影響で取材の目途を立てることができず、しかも屋久島町から「入島自粛」が発表されたため、取材予定を立てるのは大変難しく、ようやく取材ができたのが10月下旬。そこからバタバタと…。そもそも、今回のテーマである「まつばんだ」という言葉と出会ったのは自分が小学3年生のころの夏休みに屋久島で見かけた「まつばんだ交通」という看板。地元の観光会社の車だったのですが、それ以来「まつばんだ」という言葉が心のどこかに残っていました。今から2年ほど前に 屋久島に特化した番組を担当することになり まつばんだを調べたところ、民謡らしいことが判明。しかも途絶えかけているという事が分かり 今回取材させていただいた次第です。今回、心の閊え(?)が ようやく解けたのですが、取材をきっかけに知り合った屋久島の方々から頻繁に「まつばんだ情報」をいただき、ありがたい限りです。

ねえちゃんの駄菓子屋

録音風物誌2021年度番組コンクール 優秀賞作品
再放送

2021年9月27
日~2021年10月3日放送 
ラジオ関西 報道制作局報道制作部 山本洋帆

【番組概要】
神戸市兵庫区にある老舗の駄菓子屋「淡路屋」。令和の時代に駄菓子屋なんてと思う人もいるかも知れないが、地元の子どもたちから絶大な人気を誇る、ホットスポットだ。クレープが得意な店主の「ねえちゃん」が守り続ける、子どもたちの大切な場所。時代が移り変わっても、変わらない駄菓子屋の風景を切り取る。

【制作意図】
コロナ禍で移動を規制されるなか、子どもたちの伸び伸びとした姿が集まる場所があった。駄菓子屋というプラットフォームで、出会い、交わり、時にぶつかる。そんな、昔から変わらない、懐かしくてあたたかい景色を「音」で記録したいと思い、制作した。

【制作後記】
子どもたちから絶対の信頼を得ている、店主の伊藤さん(=ねえちゃん)。コロナ禍で、伊藤さんを心配した”かつての子どもたち”が、代わる代わる様子を見にきてくれたそうだ。春はまた新しい小さなお客さんがやって来る季節。苦しいニュースが多い時代だが、ねえちゃんと話す子どもたちの顔は、キラキラと輝いていた。

なまはげは泣かない~コロナ禍の伝統行事~

録音風物誌2021年度番組コンクール 優秀賞作品
再放送

2021年9月20
日~2021年9月26日放送 
秋田放送 加賀屋晃太

【番組概要】
秋田県の日本海側に突き出るように位置する男鹿半島。大みそかの夜には、山から神が下りて来ます。なまはげと呼ばれるその神は男鹿市内の各家々を回り、「泣く子はいねえが」「怠け者はいねえが」と雄たけびを上げます。秋田県を代表する伝統行事のひとつですが、新型コロナウイルスの影響で例年通りの開催が危ぶまれます。長い歴史の中はじめて中止を選んだ集落や、感染予防を取りつつ実施する集落。それぞれの想いを、男鹿の厳しい冬の風景を感じさせる音とともにご紹介します。

【制作意図】
秋田を代表する祭り 竿燈の中止をはじめとして、秋田県内でもお祭りや伝統行事が続々中止となった2020年。夏祭りだけでなく、冬の行事も例年通りの開催が危ぶまれています。そんな中、ユネスコ無形文化遺産登録などを受け、近年より注目されているなまはげ。後継者不足などに悩む中、新型コロナウイルスによる追い打ちを食らった形となり、もがきながらも伝統を受け継ごうとする姿を描くべく制作しました。

【制作後記】
現在28歳で、人生のほとんどを秋田県で過ごしているのですが、改めて「なまはげ」というもの自体について調査・取材をするうちに、ぼんやりとしたイメージ以外に詳しいことを知らないということに気づきました。私個人のことでもありますが、意外と見落としがちな地元の風習について詳しく知るきっかけとしてもこの作品を全国の方だけでなく、秋田県内のより若い世代にも聴いてもらいたいものになりました。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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