寺子屋で照らし合い~集まるお寺 龍津寺~
2021年8月2日~2021年8月8日放送
静岡放送 ラジオ局 編成制作部 柳澤亜弓
【番組概要】
「人とのつながりを世代で輪切りにするのではなく、せっかく同じ町に住んでいるのだから世代を越えてつながっていきたい」という龍津寺(静岡市清水区小島)の住職 勝野秀敏さんの想いから「土曜こども寺子屋」は開かれています。土曜日の朝、地元の小島小学校のこどもたちと、“先生”として大学生や地元の方たちが龍津寺にやってきます。その数総勢50人以上!こどもたちは思いっきり先生に甘え、おんぶや抱っこをしてもらったり、一緒におにごっこをしたり、時にはちょっとわがままを言ってみたり。広い本堂や縁側、境内で自由に過ごします。来たこどもや先生が口々に言うのは、「寺子屋に来るのが本当に楽しい。」「また来たい。」そしてみんな、次の土曜日も必ずまた来て、帰るのが名残惜しくなるくらい、居心地のいい時間を過ごしています。10年以上続いている「土曜こども寺子屋」がみんなにとってどんな場所なのか、こどもたちと先生の交流の様子やお寺に響くげんきな笑い声を通して描きたいと思い、密着しました。
【制作意図】
コロナ渦によって、会いたい人と思うように会えなくなり、コミュニケーションが難しくなりました。また、インターネットやSNSの普及などで人間関係が希薄になり、たとえばご近所づきあいも少なくなってきています。こうした中、土曜こども寺子屋では参加する人たちが心を深く通わせています。寺子屋のときに勝野さんが大切にしているのは、「自分は自分のままでいいんだ」と訪れる一人一人が感じてもらえるようにすること」。だから勝野さんはひとりひとりを受けとめ、いつも見ているよ、というあたたかいまなざしを送っています。50人以上が集まりますが、誰一人として取り残されることがありません。ほかではなかなか言えないわがままが言えたり、素直に甘えたり、自分をだせるのは、受けとめてくれるひとがたくさんいる寺子屋だからこそ。こどもや先生たちの声から感じてもらえたらうれしいです。
【制作後記】
4月から毎回、土曜こども寺子屋に通い、すっかり土曜日が楽しみになっている自分がいました。開催されない土曜日はちょっとさみしい、と思ってしまうくらい。自主勉強をした後にお寺の本堂や境内で自由に遊ぶ、という内容は毎回同じなのですが、毎回ちがうドラマが生まれました。上級生のお兄さんお姉さんは小さい学年の子たちを気遣い、よく面倒をみています。転んでしまった子がいると、みんなが「大丈夫?!」と助けに集まります。その中に小さい子もいて、助け合ったりすることが自然に身についているんだなぁと感動しました。最初はマイクを持って訪れるわたしのことをちょっと警戒していたこどもたちも、回を重ねるごとに慣れてくれ、甘えてくれるようになり、わたしの心はこどもたちにメロメロに。大学生の“先生”たちはわたしが寺子屋になじめるようにさりげなく仲間に招きいれてくれました。寺子屋に行った翌日は特になんだか優しい気持ちに。人と人が関わるってすてきなことーー、と教えてくれた勝野さんをはじめ、寺子屋で出会ったすべての方に感謝のきもちでいっぱいです。
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