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2021年4月 6日 (火)

猫の手も借りたい?!よみがえれ貴志川線 奮闘記

2021年2月15日~2021年2月21日放送 
和歌山放送 報道制作部 柘植義信

【番組概要】
和歌山市のJR和歌山駅と紀の川市貴志川町の貴志駅間14キロ余りを30分で結ぶローカル鉄道、和歌山電鐵貴志川線。大正時代に開設された軽便鉄道が発祥のローカル線。大きな赤字が続き、公募で選ばれた和歌山電鐵が事業を引き継いだ。市民の応援を得て今までの車両を改造していちご電車やおもちゃ電車などを走らせたり、グッズの販売、イベントするなど乗客を増やそうといろいろな取り組みをしている。しかし、この鉄道の起死回生の立役者は一匹のメスの猫から始まったと言っても過言ではない。当時売店の経営者が飼っていた三毛猫のたまが社長の目に留まり、駅長に就任した。猫の駅長の意外性が当たり、たま駅長に会おうと全国各地のほか、アジアなど海外からもやってくるフィーバーぶり。三毛猫のたまは一躍アイドルに。県からは鉄道の再生や観光に大きく貢献したとしてたま駅長に県勲侯爵の称号などが贈られるなど異例の展開に。2015年になくなったが、葬儀には県知事や地元の市長も参列するほどたま駅長の存在は大きい。その後ニタマ駅長が後を継いで6年近くになる。その一方で沿線人口の減少や道路の整備などで利用客は減少している。とりわけ、新型コロナウイルス感染症拡大で乗客は大きく落ち込んで赤字が続いている。猫の手も借りてあの手この手で貴志川線の存続を模索する社長。駅に奉られている名誉永久駅長「たま」も起死回生を祈っているに違いない。

【制作意図】
新型コロナ感染症拡大はこれまでの「当たり前の日常」や社会を一変させている。とりわけ外出の自粛で、鉄道やバスなど公共交通機関の利用者は大きく落ち込んでいる。沿線人口の減少や道路の整備、車の普及で利用者が落ち込んでいる地方鉄道は存続の危機にあるところが多い。和歌山県内を走るローカル線、和歌山電鐵貴志川線もその一つだ。あの手この手で利用客を増やそうと取り組んでいる。当時売店で飼われていた三毛猫を駅長に据えたところ、超アイドルに変身。一匹のメスの猫が鉄道の再生に大きな役割を果たしている。コロナ禍で乗客が減りさらに経営が厳しい地方鉄道。鉄道の再生に果敢に取り組む人や猫の駅長の奮闘の様子を紹介しすることで地方の置かれている諸課題を改めて提起し地方再生の道を模索するきっかけとしたい。

【制作後記】
たま駅長は手でものをつかむようないわゆる「にぎにぎ」が苦手だったとか。それは、仔猫のとき店主のエプロンのポケットに入れられていたからではないかと聞いたことがあります。鉄道再生への道筋は一匹の猫から始まったといっても過言ではないことを今回改めて実感しました。過疎と高齢化、車の普及に加え、コロナ禍が追い打ちをかけ、ローカル線の存続がピンチになっています。猫の手も借りてあの手この手で再生を模索するこの鉄道会社の奮闘は地方が持つ課題解決の一つの取り組みとして注目されるものだと感じます。地方に暮らし、地方から情報を発信する私たちラジオが置かれている状況もコロナ禍で厳しさを増していますが、いろいろなアイデアを駆使して人の集まる場を提供していきたいと気持ちを新たにしているところです。小嶋社長が言う「楽しくないと人は集まらないじゃない?!」一番心に残った言葉です。

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